貯蓄/ボーナスと貯蓄

冬ボーナスで割安な金鉱株のETF

長期で見ると、金と金鉱株はここ数年おかしなほど平均から乖離しており、騰がる金価格の趨勢に対して金鉱株が割安です。ここで6月から日本でも取り扱いが始まった金鉱株のETFに注目してみたいと思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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再び上昇基調に戻りつつある金価格

世界の金融市場は依然として欧州ニュースに一喜一憂という様子にありますが、全体的には8月に比べて緊張は緩和しているといえます。恐怖度合いを表すVIX指数は一気に平時レベルに落ちたわけではないものの、8月に比べれば落ち着いています。それと同時に安全資産への逃避という言葉もやや薄れ、金価格は9月末までに大きく下がり、関連する金鉱株も調整が長引くようにも見えました。しかし最終兵器に近い百兆円規模の基金で合意した後も、不安定さを再び見せ出している欧州を横目に、いつの間にか金と金鉱株の勢いが増してきている様子です。ここで注目したいのが、6月に米国株を取り扱う日本の証券会社でも取り扱い始まった金鉱株専門のETF、マーケットベクター社が運用するマーケット・ベクター金鉱株ETF (GDX)です。

このETFの構成銘柄は、概ね世界の主要な金鉱株で構成されており、主な金鉱株は網羅されています。

金鉱株は割安に放置されている状態が続いている

なぜ金鉱株のETFに注目するのかと言えば、長期で見ると、金と金鉱株はここ数年おかしなほど平均から乖離しており、騰がる金価格の趨勢に対して金鉱株が割安となっているからです。しかし、最近になってやや状況が変わってきています。

金鉱株の株価推移は上のGDXというETFの株価の動きで見てもいいのですが、これだと歴史が浅いので、XAUという70年代から続いてる金鉱株指標を使うとより正確にわかります。ちまみに構成銘柄は、おおよそGDXと同じです。ここでXAUと金価格の推移を比較してみます。

金価格と金鉱株指数(XAU)の関係は徐々に正の関係に戻りつつある

金価格と金鉱株指数(XAU)の関係は徐々に正の関係に戻りつつある

金価格が1000ドルから1400ドルに騰がった時期は両者ともかなり強い相関で上昇しました。しかし1400から1700ドルになった今年夏まで、金鉱株は騰がらず、金だけが騰がるという関係にありました。ところが、1700ドル以降は再び両者に正の相関関係が見られだしています。つまり金の上昇が今後続けば、それに一致して金鉱株も騰がりそうな様子に見えるところです。

もちろん、データ数が少なく短期なので、このままこの正の関係が続くかは確かではありません。もしかすると最近の金鉱株は単にダウなどの全体相場に反応して高くなっているだけかもしれません。しかし、いずれにしても金価格が騰がると予想されるならば金鉱株は魅力的な投資対象の1つです。そして、1つの金鉱株に投資するにはリスクが大きいですが、複数の銘柄に手軽に分散投資できるETFが取引開始となりましたので、注目する価値はあるのではないかと思います。

なお、このETFの親戚のようなものでマーケットベクター中小型金鉱株ETF(てぃっかー:GDXJ)という銘柄もあり、こちらは中小の金鉱株を細かく多数組み込んだETFとなっています。

かなり小型の財務基盤の脆弱な企業ばかりでリスクが高く、現在のところ時価総額の大きいGDXに比べて株価はそれほど騰がっていません。まだ中小型株の方まで上昇が波及するほど、金鉱株の上昇は確かなものではない時点、と言えるでしょう。相場が動きだすとき、先に大型のGDXが手始めに上昇し、その上昇が明らかとなって勢いが増してくると、投資家のリスク許容度が緩み、小型のGDXJもつられて騰がってくるという形が多いと思います。
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