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信用していい? ハウスメーカーの「ナンバーワン」(2ページ目)

皆さんは、「ナンバーワン」という表現に惹かれることがありませんか。ブランド志向とまではいいませんが、その表現に購買心理を左右されることはよくあることだと思います。そこで住宅業界の「ナンバーワン」について、今回は考察してみます。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

かつて、A社とB社の間(具体的な社名を掲載すると生々しくなりますので今回はこんな表現で)でこんなお話がありました。A社はいわずとしれた住宅業界(特に戸建て分野)で自他共に認められているナンバーワンの会社。B社は近年成長が著しいローコストハウスメーカーです。

消費者に誤解や不審を招く「ナンバーワン」も

問題は、B社がチラシ広告(この部分、少し記憶があやふやです)の中で「(当社は)注文戸建て住宅ナンバーワン」と表記していたことでした。実はその表記にはカッコ書きがあって、小さく「地域ビルダー部門」と表記されていたのでした。

居住空間の快適性

ハウスメーカーが競い合うものの一つとして、居住空間の快適性もある。断熱(Q値)や気密(C値)に関する研究開発も進められ、各ハウスメーカーごとに公表されている

当然、A社はB社に猛抗議。結論からすると、すぐにこの表記は取り下げられたのですが、ナンバーワンに関することの有り様をよく表している出来事でしたのでご紹介してみました。住宅業界について少しでも知っている人なら「?」と感じるのですが、知らない人だと「そうなんだ!」と信用してしまいかねない表記でした。

もちろんこのようなあやふやな表記・表現は、消費者の誤解や不審を招く恐れがありますから公正な取引に違反する可能性があります。この件がそこまでの大騒ぎになったかは記憶が定かではなりませんが、住宅の世界でいうナンバーワンやランキングにはそんなケースがあることを是非知っていただきたかったのです。

もう一つ、この件から注目すべきことがあります。実は「地域ビルダー部門」という表現にお墨付きを与えた調査研究機関があるのです。民間の会社なのですが、通常は前ページでご紹介したような項目について地道に調査し、貴重な統計とアドバイスを住宅業界に提供しています。

消費者心理に影響を与えるナンバーワンの価値

しかし、こんな表現を助長したとなるとこの調査会社の信頼性に「?」マークが付きますよね。そもそもこの表現にどれくらい意味があるのかは大変疑問です。地域ビルダーというグループがどのような規模の会社、どのような事業活動をしている会社の集まりなのか、不透明といわざるを得ません。

展示場

ハウスメーカー間の「ナンバーワン」アピール合戦が行われている。住宅展示場や見学施設などでその裏付けをしっかりと確認して、納得できる住まいづくりを目指したい

B社は全国的なハウスメーカーに成長していますから(当時も今も)、地域ビルダーという範疇に入るのかというと私は違うと思います。つまり、住宅業界ではこのような曖昧な表現によるアピールが、結構まかり通っているということが指摘できるのです。

とまぁ、これくらい「ナンバーワン」という事実には価値があるわけです。それは住宅業界だけでなくて、自動車や家電などといった業界であっても同様です。消費者の購買心理に大きく影響しますから、企業側にとっては神経質になりますし、だからこそナンバーワンの奪取に努力をするのです。

で、この記事の結論ですが、皆さんにはハウスメーカーのナンバーワンには信頼できるものとそうではないものが混在しているということをご理解いただきたいのです。とくに注文住宅は「オンリーワン」の住まいづくりの世界です。

ナンバーワンやランキングも客観情報の一つとしてある程度参考になりますが、皆さんの目でその事実を確認、体験して、納得して住まいづくりを進めることが大切だと思います。

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