よりスポーティ色を強調したドライブフィール
「ダイナミックハンドリングパッケージ」は、ホイール回転数、車両速度、横方向および垂直方向加速度などを各部のセンサーが検知し、ダンパーの減衰力を電子制御により100分の1秒の反応速度で調整する
ドライブフィールは、先代の2代目SLKも、快適性と操縦安定性とスポーツ性を上手く両立していて、そのバランスの良さという点では、ボクスターやZ4など同じドイツの強力なライバルに対しても、SLKが勝っていた部分だと思っていました。そして3代目を迎えたSLKの走りは、その良さを受け継ぎつつも、やや固めとされた乗り心地と、俊敏さを増した操縦性、より聞かせるためのエキゾーストサウンドの演出など、よりスポーティ色を強調した味付けとされたように感じられます。
2代目SLKをベースに各部を改良したプラットフォームは、従来とホイールベースが共通で、前後トレッドが拡大されています。高速走行時の直進安定性と低速走行時の取り回し性を両立させる可変ギアレシオステアリングの「ダイレクトステアリング」は全車に装備されます。
エクステリアデザインは、2代目SLKの後期型がSLRマクラーレン似と評されたのに対し、3代目はSLS AMGに通じる雰囲気がある
SLK350には「ダイナミックハンドリングパッケージ」が標準装備されます。これは各部のセンサーが走行状態を検知し、ダンパーの減衰力を電子制御により100分の1秒の速度で調整するというもので、これの味付けが絶妙です。快適な乗り心地とフラットな姿勢、スポーティな操縦感覚をもたらしています。「SPORT」モードにすると、乗り心地がやや固めになり、ハンドリングの俊敏性も増します。
SLK350のエンジンは、現状の世界中のV6エンジンの中でベストではないかと思えるほどの素晴らしい仕上がり。低回転から力強く、レスポンスが良く、加速フィールもスムーズで、野太いエキゾーストサウンドを楽しむこともできます。また、SLK350のみエコスタートストップが採用されており、こちらの停止~再始動の制御も非常にスムーズで好印象です。
一方のSLK200は、スペック的にはSLK350にはだいぶ及ばず、体感する性能としてもSLK350に比べると全体的に線は細くなるものの、大きな不満はありません。ただし、フットワーク面ではSLK350に比べると全体的に軽快感があり、むしろこの味を好むユーザーが少なくないのではと思われます。両グレードそれぞれ積極的に選ぶ価値のある、異なるキャラクターの乗り味を持っているといえるでしょう。
バリオルーフを開けるとご覧のとおり
総じて、より上質かつスポーティに進化を遂げた3代目SLKは、従来よりもずっと高級ロードスターに乗っている雰囲気を味わわせてくれるクルマに仕上がっていました。そして、メルセデスというのは、もちろん高級セダンも得意なら、スポーツカーも大得意なメーカーであることをひしひしと感じさせられたのです。
ラゲッジスペースは、ルーフクローズ時ではCセグのハッチバック車なみの335L、オープンにしても225Lという容量を確保。フロアを反転させることでフラットにすることも可能という「リバーシブルトランクフロア」など、使い勝手に配慮した装備もSLKならでは