幻のシャンパーニュ「サロン」を機上で
シャンパーニュ。エレガントでゴージャスで、グラスをもつ手に品格と華やかさをもたらしてくれる飲み物。なかでもプレスティージュ・クラスと呼ばれるシャンパーニュは、造り手の伝統と技術と哲学がぎゅっと詰め込まれた特別なボトルだ。
サロン社のシャンパーニュは、その特別さゆえに、プレスティージュ・シャンパーニュ群のなかでもひときわ高いステージに君臨し、シャンパン・ラヴァーの心を常にわしづかみにしているブランドである。
サロンはなにが違うのか
華やかな席にさらなる煌きを与えてくれるところがサロンの魅力
アッサンブラージュこそがシャンパーニュの真髄といわれた20世紀の初頭、この製法を始めたのが、サロンの創始者、ウジェーヌ・エメ・サロン氏だ。あえて「ブラン・ド・ブラン」と銘打たれるこの白ぶどうのみのシャンパーニュは、繊細かつ優美、さらには長い熟成にも耐えうる力強さをも併せ持つことがわかり、欧州のトップといわれた社交場マキシム・ド・パリのハウス・シャンパンに採用された。
また通常、味わいの一定化を計るため、複数のヴィンテージもアッサンブラージュするのだが、サロンはあくまで単一年のぶどうのみを使用し、ヴィンテージを表示する製法に徹している。ぶどうの出来の悪い年には、サロンを造らない。ここ100年間でサロンが生まれたのはわずか37ヴィンテージのみだ。
10年間の熟成があの味わいを生み出す
きめ細かい泡。持続性のある泡。サロンはふくらみのあるシャンパングラスで
このようにして生み出されるサロンは、年間の生産本数が5万~6万本に限定される。これを世界中の愛好家が狙うのだから、希少価値あふれる「幻のシャンパン」と呼ばれてもしかたがないのだ。
柔らかく女性的といわれる1997年ヴィンテージに対して、1999年は(当然ながら)若さが残る、酸が際立った骨格のしっかりした男性的なタイプ。とはいえ、1997年もほかのプレスティージュ・シャンパーニュと飲み比べてみれば、ひとまわり大きなボディに旨味の要素が緻密に詰まっている印象で、そのまま飲むより食事とともに味わいたいリッチさを有している。
空飛ぶ幻のシャンパーニュ
サロン社社長ディディエ・ドゥポン氏と。1999年ヴィンテージの飲み頃は50年後だとおっしゃる
JALのファーストクラスでだ。
幻のシャンパーニュは扱いが難しい。それゆえ、ほかのシャンパーニュのように簡単には機内サービス用として搭載ができなかった。JAL側は機内で極上のシャンパーニュをサービスしたいという信念のもとサロン社へ長い間プロポーズを続けていたが、2006年にJAL便に搭乗したサロン社社長ディディエ・ドゥポン氏が、客室乗務員の丁寧なシャンパンサービスを見て、ここなら安心と翌2007年に東京~ロンドン、パリ、ニューヨーク線のファーストクラスで1997年ヴィンテージのサービスが開始された。現在ではその3路線にくわえ、フランクフルト、シカゴ、ロサンゼルス、ジャカルタ便にて1999年ヴィンテージがサービスされている。