子供の病気/その他の子供に多い病気

子どもの肥満・体型管理・メタボ対策

子どもの肥満は増加傾向にあります。運動不足、摂取カロリーの増加などが考えられますが、肥満は、コレステロールの上昇、動脈硬化によって将来、様々な病気を引き起こす可能性があります。今回は、肥満とその対策について説明したいと思います。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

肥満かどうかを見るためには、体重と身長のデータが必要です。今回は、小学校から中学校ぐらいまでの肥満について説明したいと思います。

肥満

肥満

肥満の子供が増えています

肥満は体の脂肪組織が必要以上に増えている状態です。肥満は将来的に様々な問題を起こす可能性があるために、早期に発見しておく必要があります。
成人では、動脈硬化による疾患(高血圧、心筋梗塞、脳卒中など)、糖尿病などの生活習慣病になる前の症候群として、メタボリックシンドローム(代謝性症候群)があります。
日本肥満学会は2005年にメタボリックシンドロームの定義を作成しています。
腹囲男性85cm、女性90cm以上が必須
かつ
  • 血圧130/85mmHg以上
  • 中性脂肪150mg/dL以上またはHDL40mg/dL未満
  • 血糖110mg/dL以上
の3項目中2項目以上でメタボリック症候群になります。


子供の肥満度チェック

大人ですと、BMI (Body Mass Index ボディ・マス・インデックス)という簡単な指標があり、乳児ではカウプ指数を使いますが、成長期にある子供の場合、年齢の要素もあるので、別の指標である「肥満度」を使います。
成長があるために、肥満と言わず、「肥満傾向児」という表現があります。肥満度をチェックするためには、まずは、自分の身長から標準体重を求めます。電卓を用意した方がいいかもしれません。

標準体重(kg)=a×実際の身長(cm)-b で求めます。
aとbは年齢と性別で異なりますが、aは0.377~0.832までの数字です。bは22.750~83.695までの数字です。
男             女
年齢  a     b        a      b
5歳   0.386   23.699    0.377    22.750
6歳   0.461   32.382    0.458    32.079
7歳   0.513   38.878    0.508    38.367
8歳   0.592   48.804    0.561    45.006
9歳   0.687   61.390    0.652    56.992
10歳  0.752   70.461    0.730    68.091
11歳  0.782   75.106    0.803    78.846
12歳  0.783   75.642    0.796    76.934
13歳  0.815   81.348    0.655    54.234
14歳  0.832   83.695    0.594    43.264
15歳  0.766   70.989    0.560       37.002
16歳  0.656   51.822    0.578    39.057
17歳  0.672   53.642     0.598    42.339

これで、身長に対する標準体重を求め、標準体重を使って、肥満度を測定します。

肥満度(%)=[(自分の体重-標準体重)/標準体重]×100

  • 高度肥満    50%以上
  • 中等度肥満  30%以上50%未満
  • 軽度肥満    20%以上30%未満

で判定します。

小学生の場合はローレル指数を使うこともあります。
ローレル指数=体重(kg)÷(身長(cm)の3乗)×(10の7乗)
160以上で肥満になります。これでも電卓が要りますね。

発育曲線のグラフが医療機関などにありますので、自分の身長と体重をプロットすると、身長と体重のバランス、身長の伸び、体重の増えが判ります。

肥満傾向児

昭和59年、平成6年、平成18年に行った文部科学省の学校保健統計調査によると、小学1年生~中学3年生ですべての学年で肥満傾向児の割合が、増加傾向にあります。 中学1年生で最も多く、昭和59年 7.3%、平成6年 9.3%、平成18年 11.7%でした。
6歳から15歳までの子供で「小児メタボリック症候群」の診断基準を厚生労働省が発表しています。

腹囲は男子女子とも80cm以上

  • 血圧125/70mmHg以上
  • 中性脂肪120mg/dL以上またはHDL40mg/dL未満
  • 血糖100mg/dL以上
の3項目中2項目以上で小児メタボリック症候群になります。

肥満傾向児の増えた理由

肥満傾向

過剰な食事も1つの原因です

様々な要因が考えられます。肥満の原因は、摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスが主な原因です。

■摂取カロリーの増加
  • 様々な食材が簡単に手に入りやすいこと
  • 食材が豊富なこと
  • 動物性たんぱく質の増加
  • 高脂肪食の摂取の増加
■消費カロリーの低下
  • 運動不足
  • 室内ゲームなどの普及
  • 受験勉強などによる運動不足
■心理面
  • 受験によるストレス
  • 睡眠不足などの不規則な生活
などがあります。確かに外来で診ていると、肥満傾向児が増えた印象があります。肥満対策は正に原因対策になります。
次のページで肥満対策を説明します
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