肥満
肥満の子供が増えています
成人では、動脈硬化による疾患(高血圧、心筋梗塞、脳卒中など)、糖尿病などの生活習慣病になる前の症候群として、メタボリックシンドローム(代謝性症候群)があります。
日本肥満学会は2005年にメタボリックシンドロームの定義を作成しています。
腹囲男性85cm、女性90cm以上が必須
かつ
- 血圧130/85mmHg以上
- 中性脂肪150mg/dL以上またはHDL40mg/dL未満
- 血糖110mg/dL以上
子供の肥満度チェック
大人ですと、BMI (Body Mass Index ボディ・マス・インデックス)という簡単な指標があり、乳児ではカウプ指数を使いますが、成長期にある子供の場合、年齢の要素もあるので、別の指標である「肥満度」を使います。成長があるために、肥満と言わず、「肥満傾向児」という表現があります。肥満度をチェックするためには、まずは、自分の身長から標準体重を求めます。電卓を用意した方がいいかもしれません。
標準体重(kg)=a×実際の身長(cm)-b で求めます。
aとbは年齢と性別で異なりますが、aは0.377~0.832までの数字です。bは22.750~83.695までの数字です。
男 女
年齢 a b a b
5歳 0.386 23.699 0.377 22.750
6歳 0.461 32.382 0.458 32.079
7歳 0.513 38.878 0.508 38.367
8歳 0.592 48.804 0.561 45.006
9歳 0.687 61.390 0.652 56.992
10歳 0.752 70.461 0.730 68.091
11歳 0.782 75.106 0.803 78.846
12歳 0.783 75.642 0.796 76.934
13歳 0.815 81.348 0.655 54.234
14歳 0.832 83.695 0.594 43.264
15歳 0.766 70.989 0.560 37.002
16歳 0.656 51.822 0.578 39.057
17歳 0.672 53.642 0.598 42.339
これで、身長に対する標準体重を求め、標準体重を使って、肥満度を測定します。
肥満度(%)=[(自分の体重-標準体重)/標準体重]×100
- 高度肥満 50%以上
- 中等度肥満 30%以上50%未満
- 軽度肥満 20%以上30%未満
で判定します。
小学生の場合はローレル指数を使うこともあります。
ローレル指数=体重(kg)÷(身長(cm)の3乗)×(10の7乗)
160以上で肥満になります。これでも電卓が要りますね。
発育曲線のグラフが医療機関などにありますので、自分の身長と体重をプロットすると、身長と体重のバランス、身長の伸び、体重の増えが判ります。
肥満傾向児
昭和59年、平成6年、平成18年に行った文部科学省の学校保健統計調査によると、小学1年生~中学3年生ですべての学年で肥満傾向児の割合が、増加傾向にあります。 中学1年生で最も多く、昭和59年 7.3%、平成6年 9.3%、平成18年 11.7%でした。6歳から15歳までの子供で「小児メタボリック症候群」の診断基準を厚生労働省が発表しています。
腹囲は男子女子とも80cm以上
- 血圧125/70mmHg以上
- 中性脂肪120mg/dL以上またはHDL40mg/dL未満
- 血糖100mg/dL以上
肥満傾向児の増えた理由
過剰な食事も1つの原因です
■摂取カロリーの増加
- 様々な食材が簡単に手に入りやすいこと
- 食材が豊富なこと
- 動物性たんぱく質の増加
- 高脂肪食の摂取の増加
- 運動不足
- 室内ゲームなどの普及
- 受験勉強などによる運動不足
- 受験によるストレス
- 睡眠不足などの不規則な生活
次のページで肥満対策を説明します