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実需型スマートハウス(東急ホームズ)の見学記(2ページ目)

先日、東急ホームズによるスマートハウスのモデル棟の見学会が行われました。そこではスマートハウスに求められる要素が盛りだくさんでしたので、ご紹介します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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東急ホームズのスマートハウスモデル棟に搭載されている太陽光発電システムは前述したように大容量の5.5kw。これを搭載するため建物形状に工夫を施していました。北側屋根を狭め、南面の屋根を拡大するというものです。

「センターダイニング設計」で快適空間に

建物に関しての特徴は、通風を考慮した間取り設計「センターダイニング設計」にあります。ダイニングを1階の中心に配置し、その上に吹き抜けも設けることで建物全体に風の通り道を確保するというもの。開口部の配置や窓の開き方にも工夫していました。

シーリングファン

センターリビングの上に設置されたシーリングファン。自然な風を建物内部に取り込みスムーズに通り抜けられるようにすることで、夏でも快適な室内環境を実現するよう工夫されている。窓の開き方が左右で逆なのも注目ポイント(クリックすると拡大します)

軒の出や庇、植木などの植物を活用し日差しのコントロールする工夫も。9月中旬の蒸し暑い日に見学しましたが、居室内を心地よい風が吹き抜けていたのが印象的でした。丘陵地帯に立地しているなど様々な要素もあるのでしょうが、こうしたことがエアコンなどに頼りすぎない暮らしの実現につながるのです。

建物の気密・断熱性能は次世代省エネルギー基準2地域対応(※正式にはローマ数字の2、青森県など北日本の環境に対応する性能)。これに太陽光発電システムやオール電化、HEMS、蓄電池などをプラスすることで大幅な省エネ・節電が可能になるそうです。

ところで、センターダイニング設計は建物の長寿命化にも対応するといいます。ダイニングの隣には家事サポートや収納のためのスペースが設けられていて、これで新築時は子育て主婦の家事軽減が期待できるのですが、将来は寝室などの居室に用途を変更することも可能。「新築から50年以上の住まいニーズを満たす」ことを目的としているといいます。

一般的な建物に盛り込まれた様々な工夫や提案

実は2階にも階段から通じるスペース「フレックスルーム」が設けられ、これもライフステージの変化に対応する設計となっていました。このスペースはセンターダイニングと吹き抜けでつながっていて、風の通り道になり、さらには家族コミュニケーションを促す役割も狙っているそうです。

快適家事ラク空間

センターリビングの隣に設けられた「快適家事ラク空間」。納戸のような閉じられた空間ではなく、大きな開口部も設けられたオープンな空間。将来、寝室などとして活用する際にも快適な居住スペースとなる(クリックすると拡大します)

子ども部屋も新築当時は二つのドアがあるワンルームに。これは子どもの成長や生活スタイルの変化で、可動間仕切りなどで二つの部屋に容易に仕切れるように配慮したものです。このような「可変性」もこのスマートハウスモデル棟の特徴となっています。

ところで、冒頭でモデル棟が「実需型」であると紹介しました。要するに一般的な規模の建物であるということですが、一般的といってもこれほどまでに様々な工夫や提案要素が盛り込まれているということに私は感心し、是非、皆さんに注目していただきたいと思うのです

住宅の世界というのは、今後様々な設備機器や技術が開発され、導入されていくことでしょう。しかし、大切なことは建物をしっかりと作り込むこと。それは長期優良住宅や、耐震、防災、自然エネルギーの活用、可変性などを重視した住まいづくりを行うということです。

スマートハウスという言葉が一人歩きする傾向にありますが、いくらスマート(賢い)設備機器や技術を導入しても、建物の性能が良くなければ本末転倒です。トータルに考えられた住まいづくりが大切なことを、東急ホームズのスマートハウスモデル棟の見学で再認識させられました。

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