雑貨/ハンドクラフト・工芸

二階堂明弘の復活個展

益子の陶芸家・二階堂明弘さんの復活個展です。益子も311の震災により甚大な被害を受け、二階堂さんの自宅や工房も被災しました。自身の復活もさることながら、被災地や被災した方々に器を届けるプロジェクトなどを行い、精力的に活動しています。今回は、震災から新たな復活への気持ちを込めた、最初の個展です。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

3月11日の震災で、自宅、工房ともに大被害を受けた、益子在住の陶芸家、二階堂明弘氏。震災の影響により予定していた個展やイベントを全てキャンセルし、家と工房の移転作業にあたってきました。ようやく、土を触れるようになるようになったのは、奇しくも3/11からちょうど三ヶ月目。制作を開始したものの、釉薬が無くなっていたり、窯も無事に使えるかどうかわからないという手探り状態。しかし、復活個展開催にむけ、制作意欲の炎を絶やすことなく取り組んできました。
今回の展覧会では、限られた土や釉薬など、震災前とは違う条件の中で、可能な限り力を発揮した作品の数々が並びます。一層力強い展覧会になることでしょう。作品は全て展示即売となります。

*日程:2011年9月26日(月)~10月1日(土)無休
12:00~19:00(最終日は17時まで)
*場所:ギャルリーワッツ
東京都港区南青山5-4-44 ラポール南青山103号室
TEL 03-3499-2662
地下鉄銀座・半蔵門・千代田線「表参道」下車、徒歩3分、南青山会館向かい

二階堂明宏氏の作品

二階堂明弘氏の作品



■二階堂明弘プロフィール
益子の陶芸家。1977年、札幌市に生まれる。1999年文化学院芸術専門学校陶磁科卒業。2001年栃木県真岡市にて独立、2002年益子町に移築。 2006年、益子陶芸展入選。2008年、益子陶芸展、朝日陶芸展入選。年10回近く行っている個展を中心に活動。漫画「へうげもの」(講談社)と陶芸家のコラボレーション企画に主軸作家として参加中。日韓若手交流展や若手陶芸家見本市「陶ISM」などを企画。
3月11日の震災で、陶芸家として、一人の人間として何ができるかをより一層考えるようになり、さまざまな角度から前進を続ける。


二階堂氏の作品特徴は、そぎ落とされた中に、プリミティブとモダン、双方の魅力を兼ね備えるもので、また、虚飾を廃することにより、活動拠点、益子の土そのものが持つ力を極限まで引き出しています。「遠くを望むでのはなく、足下にある何処にでもある土で、何処にもなかった作品を生み出したい」という制作根底に流れるコンセプトは、シンプルで力強い作品に表れているといえます。

また、二階堂氏は2009年に「陶ISM」という、全国の若手陶芸家とギャラリー、ショップ、一般のお客様をつなげ、これからの陶芸界を盛り上げていこう、という場を立ち上げ、イベントやwebsite上での様々な企画を展開しています。単に、二階堂氏一人が仕切る場ではなく、参加者それぞれが「陶ISM」を通じて、自分たちの可能性を広げていくという、各々が自立した意識で関わる画期的なもの。
今回の震災後、被災者でもある二階堂氏自身が再建を進める中、刻々と変化する周りの状況に、陶芸家として、一人の人間として出来る事を考え続けていた中で、被災地や被災した方々に器を届けるプロジェクト「陶ISM ウツワノチカラ」も仲間たちと始めています。

特に震災後、日々、新たな問題や試みに一つ一つ向き合っているという二階堂氏。今回の「復活展」を開催できることは大きな喜びであり、次のステージへの第一歩となることでしょう。

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