ほとんどの手続きはネットで直接できる
確定拠出年金制度はほとんどの手続きがネットで行えます。ネットバンキングあるいはネット証券の口座を持っている人も多いと思いますが、ブラウザとインターネット環境があれば確定拠出年金のほぼすべてのサービスが利用できるのです。先ほど述べたように「残高の確認」ができます。また、各商品ごとの運用成績などの「レポート」もチェックできます。もし運用のやり方を変更したければ「商品の売買」も自由に行えます。売買については「毎月購入する掛金の配分割合」と「すでにある資産の配分割合(売却と購入をセットで行う)」についても別々に、ネットで確認しながら指示を出すことができます。
こうした売買注文の内容は、会社に知られることはまったくありません。会社は個人の運用状況を知ることができない仕組みになっているので安心です。
また、注文についてはWEB経由ですので、24時間365日、いつでも指示できます(ときどき深夜にシステムメンテナンスしている時間帯がありますが)。思いついたら職場でさっと指示してもいいですし、自宅でじっくり考えてもいいでしょう。ブラウザ対応しているスマートフォンから電車の中でチェックすることもできます(携帯電話で対応できることも多い)。
確定拠出年金の運用方法
ところで、運用は「自己責任」といっても、世の中にある金融商品をなんでも自由に売り買いできるわけではありません。ある証券会社は特定の投資信託だけを売買できるように、あなたの会社の確定拠出年金用に選ばれた、預貯金、保険商品、投資信託などが運用の選択肢となります。一般には15~16本がラインナップとして選べます。投資信託については、国内外の株式、国内外の債券を選択できるのが一般的で、分散投資を簡単に行えるようになっています。インデックス運用の投資信託が基本的には選ばれますので、ベーシックな運用に困ることはないでしょう。
確定拠出年金の中で購入できる金融商品については、金利が高かったり、手数料が安かったり、普通に銀行や証券会社で購入するより有利になっていることが多く、ぜひ有効活用したいものです。効率的にお金を増やすチャンスですね。
さらに、確定拠出年金の中では、運用益や利息などがすべて非課税になっています。これは老後の準備について税制上の優遇が認められているからです。こうした優遇を活用して運用できることはほとんどないため、これも上手に活用したいものです。
確定拠出年金のもらいかた
最後にもらいかたです。注意してほしいのですが、確定拠出年金は「老後のお金」として法律が作られているので、原則として中途解約ができなくなっています。基本的に、60歳より前ではもらえないと考えてください。解約は結婚して専業主婦になって、かつ残高が50万円以下である、など条件は限られています。中途退職時にもらえないのはちょっと残念かもしれませんが、ここは「老後のための貯金だ」と考えて、ぜひ大事に育てていってください。転退職した場合などは、個人型401kに口座を作ることになります。
60歳以降であれば年金もしくは一時金として受けることができます(加入期間が10年に足りない場合は期間により、61~65歳になります)。
年金受け取りの場合は5~20年で分割受け取りです。受け取りの方法(一時金と年金の選択、一時金と年金の受け取り割合、年金の受け取り年数など)は自分で自由に選ぶことができます。
確定拠出年金を上手に活用しよう
確定拠出年金は特徴のある制度ですが、私は今の時代にマッチした制度だと考えています。なぜなら今の時代、会社が将来にわたって元気で成長し続けるとは保証がないからです。昔の時代ならつぶれた会社にたまたま勤めていても再就職すればやり直すチャンスはたくさんありました。しかし、それは景気がよければ、の話です。
自己責任とセットで、運用責任を負うのは大変ですが、それだけの価値がある(自分の老後の財産は守られる)と考えてみてください。
また、確定拠出年金は資産運用を初体験するきっかけとしても大きな役割があります。
これからの日本人は、全員が投資について知っておくべき時代です。しかしなかなかそのきっかけもチャンスもありませんでした。「興味はあるんだけど……」という人が多いと思います。
確定拠出年金がスタートするとき、あるいはスタートした後に投資の勉強をする機会が与えられますが、中立的に行われており、金融機関の営業はほとんど入る余地がありません。つまり、セールストーク抜きで投資を学ぶチャンスがあるわけです。
確定拠出年金の研修で学んだ投資知識は、確定拠出年金だけで使わなければならない、なんてルールはありません。個人の資産運用に使ってもいいのです。ぜひ、確定拠出年金をあなたのステップアップに活用してみてください。きっと、お金に関する知識が広がると思いますよ。