400万人の401k加入者のための復習講座
401k制度の普及は着実に進んでいます。これから401k(確定拠出年金)がスタートする、という人もたくさんいることでしょう。来年春の導入に向けて労使で調整中なんて情報が入っている人もいるはずです。すでに401kが始まっている人もたくさんいます。実は約400万人がすでに401kに入っている人です。これは会社員の8~9人に1人に相当する割合です。かなり多くの人が退職金・企業年金を401kで積み立てています。
401k制度はスタート時には制度説明会をしてくれるものの、導入後はなかなか研修の機会がありません。「これから始まる401kってどんな制度?」「うちの会社、401kだったんだけど…どんな仕組みだっけ?」という人のために、401kの基礎をまとめてみたいと思います。
まず、最初に豆知識です。「日本版401k」、「DC制度」、「確定拠出年金(企業型確定拠出年金ということも)」は全部同じ制度のことです。それぞれ、アメリカの先輩制度である401(k)プランにならう呼び方、確定(D)拠出(C)年金をそのまま英語にして略した呼び方、最後は日本の法律の名前に則った呼び方となります。
一般的には401kと呼ばれることが多いですが、業界の人はDCと呼ぶ傾向があります。もちろん法律の名前を使うこともあります。会社内では統一した言葉を用いるのが普通ですが、上記3つのどれを使っているかは会社次第です。ちょっと覚えておくといいでしょう。
それでは、401k(確定拠出年金)基礎講座、スタートです。
自己責任と、自由な運用、年金受給権がセットになっている
確定拠出年金の一番大きな特徴は「運用方法を自分で決める」というところです。自己責任、といわれて「大変だなあ」と思う人もあれば「楽しそう」と思う人もいるでしょう。今までの企業年金においては、運用の方法は会社側が決定して、全社員(およびOB)の年金資金についてまとめて運用をしていました。もし運用がうまくいかなかった場合は、会社がまず追加負担をして、やむをえない場合は全体で給付を減らすような調整をしていました(詳しくは確定給付型の企業年金の仕組みで解説しています)。
これに対し、確定拠出年金においては、「ひとりひとりが、自分の持ち分の運用法を自分で決める」ことになります。そして「自分で決めた自分の持ち分の運用結果については自分で責任を持つ」ということになります。これが「自己責任」ということです。
例えば、株式ばかりで運用をしてもいいですし、定期預金100%で確実に運用してもいいのです。株40%、定期預金60%というような組み合わせも自由自在です。商品を1本買っても、10本買ってもかまいません。
うまくいった場合はその運用結果が個人の老後資産の増加になりますし、うまくいかなかった場合はその運用結果が個人の老後資産の目減りになってしまいます。ただし、他人の失敗が連帯責任のように自分の資産減少になることはありません。
ところで、「ひとりひとりの持ち分」について自己責任と言いましたが、これは逆に言うと「自分の権利が明確になっている」ということでもあります。確定拠出年金では、渡されたIDやパスワードでログインすれば、ネットで自分の残高を1円単位で毎日確認できる仕組みがあります。従来の退職金や企業年金ではできなかったことです。
この金額については会社の業績低迷に影響を受けることもありませんし、3年以上勤めていれば自己都合で辞めても減らされることはありません。また、金融機関の破綻にもほとんど影響を受けません。銀行等が破綻した場合はペイオフ等の保護対象です。
自由な運用ができる代わりに自己責任を負い、自己責任を負う代わりに個人の年金の権利は守られる、それが確定拠出年金のキホン、と覚えておくといいでしょう。
おそらく、「これは困った」という人と「これはいいことだ」という人がいると思います。運用なんて難しいことは考えたくない、という人は自己責任を困ったこととして受け入れるでしょうし、他人のお金とごっちゃに管理運用されるのは(会社が運用するのは)気に入らないという人は喜んで受け入れるかもしれません。
権利は守られ、運用は他人任せ、というように、全部自分に都合よくなる時代はもう終わりました。確定拠出年金のルールをしっかり受け止め、活用を考えてみてください。