ただし、「生き延びられる」運用戦略が必要
運用といえば、デイトレードやFXなどリスクを高くとって、大もうけを目指しますが、最悪の場合は資産を全損(ネットスラング的にいえば「溶かす」)するイメージがあります。しかし、これはそもそも投資の仕方が間違っているから起こることです(リスクを極大化することでリターンの可能性をあげる、という目的なら正しいのですが)。これから覚えていかなければいけないのは「最悪のケースでもお金が生き延びられる」運用方法です。つまり生存戦略をしっかり見極めて投資をしていかなければいけないのです。
もっと具体的にいえばリスクのコントロール方法を学びながら投資をすることが必要です。大きく負けて、資産をなくす方法を避けるのです。
例えば、インデックス(例えば日本株ならTOPIX)で投資をするだけで、個別企業の騰落から離れて運用ができます。1600社に同時に投資をするようなものですから、1社が破綻しても1%以下の影響しか及ぼしません。
国内だけに投資をするのではなく、外国へも投資する、というのもリスクを抑える手法です。日本経済の上下だけに資産運用が左右されなくなります。外国への投資も先進国だけでなく、発展途上国も含めるとより資産運用の「大負け」を避ける可能性が高まります。
投資をするとつい「自分の予想は当たる」「予想はできる」と根拠なく思いますが、冷静に少し考えてほしいのは、「当たらない」「予想が外れる」という可能性です。うまくいかない可能性を織り込みながら、うまくいったときの成功を手に入れていけばいいのです。
仮に年率100%(つまり倍)でなくても、3~5%程度の成長を得られれば、それは価値があることだと思いませんか?なぜなら、お金だけが働くのではなく、自分が働きながらその稼ぎの一部を追加投入していけば、十分にお金を増やすペースを確保できるからです。
運用を資産形成に戦略的に組み入れよう
投資は資産のすべてでやるものではありません。資産の一部分で行えばいいのです。しかし、必ず一部分を投資に回しておくべきだと思います。最初は少額からスタートするべきです。なぜなら高額の投資初体験は冷静に行えないからです。どんな投資でも、最初はドキドキしますし、冷静さを失います。数十円の損失も数円の値上がり益にも一喜一憂し、Yahoo!ファイナンスのページを何度もリロードすることでしょう。
しかし、そういう経験を積むことが重要です。少なくとも、投資未経験のまま、定年退職より有意義です。「退職金でお金はたくさんあるけど、投資は未経験」はきわめて危険です。こういう人は金融機関のセールストークの本音が見分けられませんから、よいカモになることでしょう。そうはなって欲しくないものです。
マネーに関する生存戦略を考える
さて、前回の「こんな時代のFP的生存戦略!~長生きはリスク?」と今回でマネーに関する「生存戦略」を考えてみました。なんだかもう、「マネー生存戦略」とでも題して一冊書くべきかと思い始めています(オファーをお待ちしています)。それくらい重要なテーマです。ここに書いたことは今必要なことの一部分かもしれませんが、あなたの「生存戦略」がうまくいくきっかけになることを期待しています