「男なんですけど、梅酒作ってるって、ヘンですか?」
月向山からの美しい眺め。太平洋からの潮風がおいしい梅を作る
この日収穫した梅の選別中
園主の月向雅彦さん。ご説明がわかりやすい!
収穫した梅は通販に
「男なんですけど、梅酒作ってるって、ヘンですか?」という問い合わせもあるのだと笑う月向さん。
「収穫は6月ひと月です。でも、農園の管理は7月以降からがスタート。花を咲かせるため、夏にも作業があるし、秋から冬は木枝を整えたりします」
梅の収穫後は梅干も作る。健康な梅干はどんなにおいしいだろうか。
梅の樹の下で、生の完熟梅をかじる!
梅の樹林へ。心地いい風が園内を駆け巡る
「今年は例年より1週間ほど遅いんです」とここでもこの話。今年は冬が長かった。
少し色づいてきた南高梅
青いシートに熟した完熟梅が落ちる
香りはまるで杏や黄桃のように甘酸っぱくて、おいしいそう。
完熟梅は、思いのほかおいしい!
お、おいしい!
甘酸っぱくて、おいしい。きめの細かい果肉の繊維は柔らかく、強烈な酸味があるけど、柔らかい甘みもある。種の近くはもっとも酸っぱい。こんなにおいしいのになぜ生食にしないのかと聞けば、
「梅はアシが非常に早い果実で新鮮なうちに食べるのが難しい。もちろん、酸も強いしね」
なるほど、この農園でかぶりつくのがやはり最高のようだ。すごい贅沢な気分。
ちなみに、梅酒には黄色味がかった青梅で樹になっている状態のものがいい。梅干には熟して自然に落ちたものがいいのだとか。和歌山名産の南高梅はどちらにも向く梅。南高梅、エライのである。
除草剤はなし、梅の種から作る有機肥料で育つ元気梅
月向さんの農園では除草剤を使わない。また、農薬も最低限。使用するものは有機認定を受けたものがほとんどだ。「農薬は、子供が予防注射をしたり、虫除けスプレーを使うような感覚」という考え。さらに肥料は、堆肥となんと梅の種(!)で作られた有機肥料。さすが梅農園。ホームページでは、農薬と肥料の種類や使用回数が明確に公表されている。自然のままにたっぷりの愛情と手間をかけて育てられている梅たち。まるで娘のよう。そうだ、月向さんご夫婦には本当にお嬢さんがお二人いらっしゃる。「うまくいく年は4年に1回程度。2009年は恵まれた年だった。06年は雹にやられ、07年は霜、08年は病気……」
なんと大変な作業だろう。ただの飲んだくれの私には想像もできない。しかし、やはり梅酒はワインと同様、出来不出来がある果実という農作物の酒。ヴィンテージの個性を語れる和酒である。100年やっても、梅の実を収穫するのはたった100回なのだ。年に何回もできるわけではない、その年唯一の梅と梅酒。これからは、梅の良し悪しを語りながら飲めるようになりたいものだと、月向さんの梅の木々を見つめる優しい横顔を見ながら思った次第。
季節限定の『月向』。味わいも特別だ
月向農園ホームページ
中野BCでは、月向農園の梅を使った毎年限定の『月向』が秋に発売される。量が限られるため、ほんの短期間しか発売されない。ご興味あるかたはHPを要チェックだ。
まるで貴腐ワインのような濃密梅酒「紀州梅酒 紅南高」
濃密な味わいを楽しめる『紀州梅酒 紅南高』
出来上がった梅酒は、ピンクがかった淡い琥珀色で、とろりと舌に重い濃密なタイプ。氷を入れてオンザロックやソーダ割りでもこの濃厚さが楽しめるが、友田おすすめはそのままストレートで。まるで貴腐ワインのような印象で、ボリュームのある料理をいただいた後の食後酒としてフルーツタルトやベイクドチーズケーキと一緒にどうぞ。業務展開している商品なので、お酒屋さんや料飲店で見つけたらぜひ。
★月光農園園主月光雅彦さんと山本佳昭梅酒杜氏の「梅酒造りの裏技」が対談形式で公開されている。梅酒を作ろうという方、必見!
ココ
■中野BCの梅酒・清酒が買える、おすすめの酒販店@和歌山
大きな街道に面した目立つエントランス
業務展開をする銘柄を含め、中野BCの商品を購入するなら、和歌山市内の「株式会社吉田 寅一商店」さん。
必ず試飲をさせてくれるところもうれしい
今のおすすめはこちらの完熟みかん梅酒だ
■中野BCの梅酒・清酒が飲める、おすすめの飲める店@海南市
インテリアはかなりモダン。料理も洗練されているけれど、どこか懐かしい味
お刺身がもう驚きの新鮮さ。隣のいちゃついていた若いカップル、このおいしさ、わかっておるのか……
鱧も最高。淡い旨味を堪能できる
和歌山県海南市船尾200番地
電話:073-483-3680
営業時間:17時~23時半
(HPなし)
ビールに梅シロップを入れる「初恋ビール」。まねしてみて。おいしい。この店は日本酒もワイングラスで飲ませる
お酒を注いでいるのは河嶋清酒杜氏と山本梅酒杜氏。普段はおりませんのであしからず