100カ月後の投資初体験より、今月から投資経験を!
最初に「タネ銭なくても運用が可能」という説明をしました。もうひとつ指摘したいのは「タネ銭を作らずに投資をしたほうが有利」という説明をします。「まとまったお金」を作る前に投資をすべきもう一つの理由は、タネ銭準備にかかる時間があまりにももったいない、ということです。
仮にAさんが毎月1万円を貯め、100カ月後に100万円+利息を元手に資産運用を始めるとします。同じスタートラインでBさんは毎月1万円を積立投資信託でいきなり投資に回したとします。
100カ月後、Bさんのお金は100万円を下回っている可能性と、100万円を大きく上回っている可能性の両方があります。Aさんは銀行預金とすれば、マイナスになる可能性はありません。
しかし、AさんとBさんには100カ月後、決定的な違いが生まれます。それは「投資の実体験100カ月」の差です。
100カ月といえば8年にもなる時間ですから、株価が上がる時期も下がる時期もあることでしょう。国内だけ上がる時期、海外だけ上昇する時期、為替が円高に振れる時期や円安に振れる時期が含まれているはずです。Bさんは少額から8年にも及ぶ投資経験を得、Aさんは投資未経験のまま100カ月を過ごしてしまいました。
100カ月後、さあ投資をスタートしようとするAさんはむしろ100万円という大切なお金を減らしたくないですから、積極的な投資をしにくいことでしょう。経験がないこともここではマイナスに働きます。
Bさんは、少額であったとはいえ、100カ月の経験を積むことができましたし、むしろ少額ですから運用のマイナスも乗り越えられると思います(100万円が10%減ると10万円ですが、10万円積み立てたときの10%マイナスは1万円ですむ)。100カ月後は、100万円前後の資産と100カ月の投資経験を得た、立派な個人投資家になっているはずです。
投資経験は、投資金額と関係なく得ることができます。投資経験は「実体験の時間」が長いほど有利だと思います(控えめに言っても、経験が無用ということはない)。
投資初心者向けの「タネ銭貯めて運用」という簡単な一言が、投資経験を積む大切な機会を奪っているのです。
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