作品同士の組み合わせで、新しい見方を発見
横浜トリエンナーレ 横浜美術館会場
横浜美術館会場では、現代美術作品同士はもちろん、横浜美術館所蔵の古い作品との「組み合わせの妙」が楽しめる展示となっています。入口に入ると、うずまきがたくさん! こちらは、一人ひとりの衣類をすべて糸状にほどいてぐるぐる巻きにした作品。仏教における煩悩の数である、108人分がうずまき状に並べてあります。一つひとつをよく見ると、洋服のタグがしおりのように挟まれています。YIN Xiuzhen《One Sentence》2011
透明な迷路の中心には1台の電話が置いてあります。これ、オノ・ヨーコさんから突然電話がかかってくるというハッピーな作品。たまたま居合わせて、オノ・ヨーコさんとお話できるラッキーな方は誰でしょうか!? ONO Yoko《TELEPHONE IN MAZE》2011
左:画鋲を壁に刺して長方形を作った冨井大裕の作品。TOMII Motohiro《Gold Finger》と、2800万個のイミテーションダイヤの山の中に本物が隠れているというウィルフレド・プリエトの作品。Wilfredo PRIETO《One》2008 右:何もない部屋に入ると、丸めたティッシュペーパーが動き始めて……!今村遼佑《森と床にひび割れと出来事について》2011
工事現場の足場から、オルガンの音色が! 特殊な環境を作りだすマッシモ・バルトリーニの作品。古代エジプトのコプト織裂、蝶々の羽で描かれたステンドグラスのようなダミアン・ハースト《知識の木》、骸骨が腰かけているチョン・ジュンホ《彌勒菩薩半半跏思惟像》が一緒に展示されていて、生と死をひしひしと感じる空間。Massimo BARTOLINI《Organi》2008
このほか、横尾忠則の「Y字路」シリーズの絵画や荒木経惟の大渦時(=マジック・アワー)を撮影した作品が並ぶゾーン、イサム・ノグチの円環状の彫刻シリーズ《真夜中の太陽》と、八木良太の球体の作品《SOUND SPHERE》など丸い作品が集められたゾーン、湯本豪一コレクションの妖怪グッズが並ぶゾーンなど、作品同士が呼応するような工夫がなされています。
儀式のようなパフォーマンス(ジェイムス・リー・バイヤース)や壁に新作を描くパフォーマンス(佐藤 允 ※8月10日まで)、真っ白な壁だけの作品(嵯峨篤)、「搬入の途中?」のような作品(田中功起)、新聞(しかも広島の中国新聞)が無造作に置いてある作品(岩崎貴宏)、スーパーマンの故郷である架空都市の模型(マイク・ケリー)、望遠鏡をのぞくと見える作品(岩崎貴宏)、通路にある作品(冨井大裕)など、「おや?」と思わせたり、その時でなければ出会えない作品があったり……。フロアマップをしっかり見て、見逃さないように! 「作品の新しい見方を探しながら、それぞれの感動を味わってください。
次ページは、もうひとつの会場である日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)を紹介します。