為替レートを考える「ビックマック指数」
前回の記事「ハンバーガーで為替レートを考えてみる。
世界中にお店があるマクドナルド。その共通のメニューの1つがビックマックだ。原材料や店舗の固定コストや人件費などを含めて1個の値段が決まるので、各国における購買力の比較をするときに非常に役立つ。これをうまく利用して、為替レートを考えているのが「ビックマック指数」だ。イギリスの雑誌である「エコノミスト」が提唱している指数で、毎日更新されている。こちらで確認可能。
簡単に考えるために、日本でビックマックが300円で、アメリカで3ドルだとしよう。そうすると、ビックマックが世界で同じ値段であるとすると、1ドルは100円ということになる。これは自国通貨と外貨の購買力の比率によって為替レートを決める「購買力平価」の考えがベースになっている。
もし1ドル90円だとしたら、100円よりも10円円高に傾いていることになるし、逆に1ドル120円であれば20円円安になっているとわかる。
2010年の7月の段階で、イギリスの雑誌「エコノミスト」が発表したビックマック1個の値段は、アメリカで3.73ドル。日本の場合には320円。1ドル。ということは1ドル=85.7円の計算なので、現在の為替レートである1ドル=85円というのは、妥当な数字といえそうだ。
物価が高いか低いか
ビックマック指数において考えておきたいことは、ビックマックが安く買える国の物価は安いということだ。たとえば中国のビックマック指数はマイナス45%、香港はマイナス49%なので、アメリカと比べるとかなり物価が安いことになる。逆に最も指数が高い、つまりビックマックが高いのが、北欧の国々。ノルウェー124%、スウェーデン109%、スイスの94%、デンマークの47%だ。つまり北欧は物価が高いと考えることができる。ビックマックという1つのコンテンツでも世界各国の経済力をはかることもできそうだが、スターバックスのトールラテやiPadでも比較をするようになった。「トールラテ指数」と「iPad指数」だ。
世界中にあるモノを使うことによって為替レートや経済力が見えてくるのは、けっこうおもしろいと思う。机の上で数字とにらめっこをしてもいいが、ビックマックを食べたり、スタバでお茶をしながら経済を考えてもいいかもしれない。