ヤンキース守護神リベラも武器とするカッターを操れるか
メジャーリーグにおいて、カットボールはひじょうに有効な変化球だ。パワーヒッターの多いメジャーでは、バットの芯に当たれば、どのコースでもスタンドに持っていかれる確率が高いが、バットの芯を少しでも外せることができれば、当たってもホームランになることは少ない。ストレートとあまりスピードが変わらないカットボールは、カーブやスライダーに比べてタイミングが合わせづらく、バットの芯を外すには持って来いの変化球となる。このカッターを最大の武器にしているのは、ヤンキースの守護神であるマリアノ・リベラだ。09年にメジャー史上2人目の通算500セーブをマークしたリベラは、当初はセットアッパーで、「初速と終速の差が最も少ない投手」として注目され、1997年にクローザーに転向した。その間もなく、キャッチボールをしている時にたまたまカッターに遭遇。試合で試してみると面白いように切れ、「バットをへし折る電動ノコギリ」といわれるようになった。以後、MAX95マイル(約153キロ)のストレートとカッターだけで、559セーブも積み上げたのである。カッターは通常、水平に変化するものだが、リベラのそれは必ずしも水平に変化せず、タテにも大きく変化するので、ひじょうに打ちづらい。
ここで岡島に話を戻そう。岡島のカッターもリベラのように大きく変化する。「カーブみたいに大きく曲がるんですよ。狙ったところにいっている。まっすぐみたいな軌道でいくようになれば、左(打者)にも使えますね」。右打者の内角だけでなく、左打者の外角へも有効に働くとなれば、新球どころか“魔球”になる。
昨年12月には第3子となる次男も誕生した岡島。今年は昨年5月までラグビートップリーグのサントリーで4年間通訳を務めていたジェフリー・カトラー氏(27)が専属で通訳になることにもなった。自らも年男として、昨年の屈辱を晴らし、来年につなげるため、新球カットボールに全てを賭ける。