解約は最後の手段。その前にできることを考えよう
保険の解約は、保険を途中でやめることで、契約者の権利の1つです。ただ、契約時の約束事を契約者側が一方的に破ることになるので、不利になることが多いものです。個人年金保険の解約で不利になる点は、解約返戻金(解約したときに戻ってくるお金)が払い込んだ保険料を下回る、つまり、元本割れを起こすことです。
とにかくお金が必要で年金保険を解約するしかない場合、家計が厳しくなって保険料を払い続けられない場合は、解約はやむを得ないでしょう。とはいえ、解約は最後の手段なので、他の方法で何とかできないかを検討してからにしてください。
特に、予定利率の高い時期に契約した「お宝年金」(具体的には、予定利率が2.75%以上)は、せっかくの有利な条件を放棄することになり、もったいない限り。解約してから「惜しかった!」と思っても、二度と同じ有利な条件では契約できませんから、熟考が必要です。
では、解約前に検討してほしいことを2つのケースに沿って紹介します。
まとまったお金が必要になり、保険の解約を考えた場合は?
このケースでは、契約者貸付で一時的にしのげないかを検討しましょう。契約者貸付とは、借りる時点の解約返戻金の一定範囲内でお金を借りられる制度のこと。貸付利率は、契約時の予定利率+0.25%~2.00%が一般的です。まず、下記の3つの項目を確認してください。
1. 契約者貸付を利用できるか
2. いくら借りられるか、貸付利率は何%か
3. 借りたお金は元利含めて返済できるか
そもそも契約者貸付はできない年金商品だった、借りたお金を返済できる見込みがないなどといった場合は、この一時しのぎができないので、保険の解約はやむを得ないかもしれません。
ただ、お宝年金の場合は例外です。契約者貸付で借りたお金を返さないでいると、利息は毎年元金に繰り入れられて、元利はどんどん膨らんでいきますが、お宝年金の場合は、毎年の利息だけは定期的に払って元利が増えていかないようにし、お金ができたときに随意返済で対処することを検討してみるとよいでしょう。それだけ、お宝年金の貯蓄性の高さは捨てがたいのです。
保険料が払えなくなって、保険の解約を考えた場合は?
収入が減った、支出が増えたなどの理由で保険料を払い続けるのが厳しくなった人もいるでしょう。この場合、払済保険に変更するという方法を検討してください。払済保険とは、保険料の支払いをやめ、その時点で貯まっているお金を元に同種の保険か養老保険に変更すること。この場合、年金額や保険金額は小さくなり、つけていた特約もなくなります。
お宝年金なら高い予定利率を引き継げるので、解約よりこの方法をおすすめします。
しかし、契約から間もない時期でお金がほとんど貯まっていない場合など、条件によっては変更はできませんので、その場合は解約するしかありません。
ちなみに、保険料の振替口座の残高をなくして自動的に引き落とされないようにする人もまれにいます。ただ、この方法をとると、それまでに貯まっているお金を保険料に充当する「自動振替貸付」が行われる場合もあり、正式に解約手続きをしたときに受け取れる解約返戻金額が減ってしまいます。解約の意思が固まっているなら、早く手続きをしましょう。
解約の意思を伝えて手続きしてもらう方法は?
では、本当に解約が必要になった際、どのような点に気をつければよいでしょうか?解約手続きは、一般的には、担当の営業職員に依頼することになります。しかし、彼らは基本的に解約されることをイヤがります。継続するよう説得されて決心がぐらつくかもしれません。
そこで、事務的に扱ってくれる本店・支店に電話をして必要書類を送ってもらい手続きを行う、あるいは窓口に直接出向いて手続きを行うといいでしょう。窓口に出向く場合は、二度手間にならないよう、次に挙げるものを揃えて持っていきます。
・保険証券
・契約時に使った印鑑
・身分証明書
・解約返戻金の振込先の通帳
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