膠原病・リウマチ/シェーグレン症候群

シェーグレン症候群の症状・診断・治療

シェーグレン症候群は中年の女性に多い病気で、涙や唾液が出にくくなるなどの症状を伴います。シェーグレン症候群の原因、症状、治療について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

シェーグレン症候群とは

中年の女性に多い膠原病の1つで、唾液や涙が出にくくなるなどのさまざまな症状を伴う病気。1933年にスウェーデンの眼科の医師であるヘンリック・シェーグレンによって発表されたので、シェーグレン症候群と言う名前になりました。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、混合性結合組織病などの膠原病に合併する場合(2次性)と、原因が不明の場合(原発性)に分かれます。慢性の病気で、症状はよくなったり悪くなったりを繰り返すので、診断と治療が大切です。

シェーグレン症候群の症状

主に、目と口に症状が現れます。

目の症状

よく目が乾燥しませんか?口の中でパサパサしませんか?そんな症状が続く場合はシェーグレン症候群かもしれません

■ 目の症状:目の乾燥に伴う症状
  • 涙が出ない
  • 目がコロコロした異物感があったり、目が痛い、目がかゆい
  • 目が疲れる
  • 物がよく見えない、まぶしい
  • 目やにが出る
など

■ 口の症状:口の中の乾燥に伴う症状
  • 唾液が出ない
  • ノドが渇く、口が渇く、会話が続かない、水をよく飲む
  • 味が解らない
  • 虫歯が増えた
  • 耳下、顎下、舌下にある唾液腺の腫れと痛み
など

■ 鼻の症状:鼻の乾燥
  • 鼻が渇く
  • 鼻出血が出やすい
など

■ 全身症状
  • 息切れや疲労感
  • 微熱から38℃以上の発熱が続く
  • 関節の痛み
  • 脱毛
  • 肌荒れ
  • 皮疹
  • 手足が冷たくて紫になるレイノー現象
  • 頭痛、めまい、集中力の低下
  • うつ傾向
など。膠原病の症状が見られるので、関節リウマチなどの膠原病との合併と鑑別が必要になります。多いのは唾液と涙が少なくなることです。

シェーグレン症候群の頻度

1994年の調査では1万7000人で、男女比が、1:13.7と圧倒的に女性に多い病気。50歳代をピークに、10才ぐらいから高齢者まで見られます。発症率は女性10万に対して25.6人と推定されています。子供でもたまに発症するため、私も小児科診療で診るケースがあります。

シェーグレン症候群の検査

血液検査と唾液や涙の分泌の状態などを検査します。

■ 血液検査
自分の攻撃する抗核抗体の1種である抗SS‐A抗体または抗SS‐B抗体が陽性になります。小児科では次の検査ができにくいので、抗SS‐A抗体または抗SS‐B抗体は信頼性のある検査です。

■ 唾液の分泌を見る検査 (耳鼻科で検査することが多いです)
  • ガムテスト:市販のガムを10分間かんで出る唾液の量が10ml以下
  • サクソンテスト:ガーゼを口に含んで2分後にその重さの増加が3g以下
  • 唾液腺造影:造影を使って、唾液線の状態をを見る
  • 唾液シンチグラフィー:放射線物質を使って、唾液の出方を見る
涙の分泌を見る検査(眼科で検査することが多いです)
  • シャーマーテスト:目に試験紙をつけて、5分間に10mm以下しか濡れていない
  • ローズベンガル試験:試薬を使って、角膜炎があるかないかを見る
  • 蛍光色素試験:光る色素を使って、角膜炎があるかないかを見る
唾液などの一部の組織を採取する生検検査
主に唇の下にある唾液腺の一部を採取し、顕微鏡で炎症の状態を確認する

次のページではシェーグレン症候群の治療について説明します。
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