「払ってないのに救済は不公平」という批判高まる
その救済内容によると、第3号から第1号被保険者への手続きを忘れて何年も経過していた人でも、変更手続きをした時点から2年間に遡って保険料を支払えば、残りの期間は「支払い免除」という扱いになり、将来年金は支払われることになります。しかし、忘れずに夫の退職直後に変更手続きをして、その後真面目に第1号被保険者として保険料を支払い続けてきた人は報われません。「正直者が損をしている」「不公平だ」という、この救済制度に対する批判が高まっています。
根本的問題は、「待遇差」
「不公平だ」という批判が高まり、政府は救済策を変更することを検討しています。問題は、一体どう変更するのかという点です。というのも、1月に救済策が開始されて以来、すでに救済の手続きをした人が数千人いると言われます。単純に救済策を廃止するとしたら、その人たちはどうするのでしょうか? 救済策の廃止を決めたとしても、即日廃止というわけにはいきません。たとえば数ヶ月の猶予があったら、その間に手続きを申し込む人が殺到してしまうことにもなりかねません。
今回の問題の根本的な原因は、同じ専業主婦であるにも関わらず、第1号被保険者と第3号被保険者の間に待遇差がある点です。第3号被保険者の場合は、保険料を支払っていなくても加入とみなされて、その分は老後の年金額を決める期間に加算されます。
この待遇格差問題は何十年も前から存在しているにも関わらず、根本的な解決策を考えず放置されてきました。ここにきて発生した問題が、一気に表面化してきた形になっています。
本格的な高齢化を迎え、年金問題とは真剣に向き合わなくてはいけなくなってきました。この救済策の問題も、先送りにせず真剣に取り組むことが政府に求められるでしょう。