三方山に囲まれ、前面に海が広がるという特殊な地形が関係している?
なぜスマートカードが人気なのでしょうか。長崎市はもともと谷沿いに開けた街で、三方山に囲まれ、前面に海が広がるという特殊な地形です。街の中心部は海の近くにありますが、肝心のJRは山の向こう側から入り込んで街に入るところで終わっています。それが終着駅のJR長崎駅です。市民や観光客が利用するのはもっぱら市街を縦横無尽に走り回る路面電車であり、バスなのです。つまり、JRは長崎の市街まで入り込んでいないので、市民はSUGOCAに関心を示さず、スマートカードに関心を向けるようになったのです。ですから、いまのままではJRの入り込む余地はほとんどありません。2012年にはSUGOCAが長崎線でも採用になるといいますが、市民生活にどれほど影響があるかは疑問です。市民はむしろスマートカードの発展に期待を寄せているというのが実情でしょう。
iDやEdyも着々と浸透しつつある
また、長崎には中国人観光客がたくさんやってきます。その人たちのために彼らが使う銀聯カードの端末も多くみられました。また銀聯カードを入れると同時に店にはiDとEdyを使える端末も入っており、その加盟店も増えています。この辺の事情は長崎市消費者センターのスタッフが「長崎市の電子マネーの状況」にまとめていますのでそちらをご覧いただければと思います。ただ、個人的には長崎スマートカードでは少し物足りない気がします。第一に電子マネー機能がないために買い物ができないこと。次ぎに全国のSuicaを中心とした大きなうねりに乗り遅れるという焦りに近い気持ちもあります。今の閉鎖的なやり方で今後やっていけるのかどうかが気になるのですが、なかなか妙案は浮かびません。SUGOCAが長崎駅で使えるようになったあとで、そこでスマートカードとの相互利用を果たす・・というところくらいまででしょうか。
観光資源を生かす電子マネー戦略を考える時ではないか
しかし、よく考えてみると、長崎市は観光資源が多いのですから、それを中心に考えて、ワオンがやっているような世界遺産や観光地をテーマにした展開をするという方法もあるように思います。グラバー邸や出島、長崎奉行所などを長崎スマートカードにデザイン化して、観光客にお土産として持たせるというやり方もあるでしょう。新しい地域通貨として観光客のリピートを狙うという方法もいいと思います。【関連リンク】
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長崎スマートカード