ゆったりした革小物を作る勇気とセンス
カラバリは、黒×オレンジ、黒×アクアブルー、黒×レッドの3色。cyproduct(サイプロダクト)の「データカバーSE」各1万1800円
単機能で無駄を削ぎ落としたミニマムなグッズというのは、本当にカッコいい。特に革小物は、革という素材の特性もあり、シンプルに研ぎ澄ましたようなデザインにするほど洗練され、使いやすいアイテムになりやすいです。もちろん、それを実現するためには、作り手のセンスや技術が必要ですが、だからこそ、名作はミニマムな仕様のグッズからの方が生まれやすいとも言えるのでしょう。
一方、フレキシブルに使える、ゆったりした構造のグッズは、革よりもむしろ布や紙が向いていて、革にするなら、柔らかい革を使って大きめのバッグを作る事が多いようです。そんな中で、cyproduct(サイプロダクト)の新しい手帳カバー「データカバー」は、革小物らしいシャープな輪郭を持ちながら、とてもフレキシブルに、もっと言えば、とても適当にザックリと使うことができる、今までにない使い心地を味わえる製品です。
内側はシンプルなブックカバー的な構造。差し込みが短いので、中の入れ替えがスムーズです
基本的には、「ほぼ日手帳」や「クオバディス・ビジネス」などの文庫本サイズの手帳用のカバーですが、そこに大きなポケットを組み合わせて、手帳と一緒にロディアのブロックメモのようなメモ帳と筆記具、またはiPhoneなどのスマートフォンと筆記具をまとめて持ち歩けるように作られています。手帳を収納する部分もポケットも、少し大きめというか、ゆったりと作られていて、手帳と一緒に持ち歩きたいものは、だいたい収納できます。
ありそうで無い汎用手帳カバーの魅力
ロディアのNo.11とヴィスコンティの「オペラ」を差し込んだところ。大きめのポケットは、太くて長い筆記具も収納可能です
例えば、メイン収納部分に「ほぼ日手帳」を入れて、外のポケットにボールペンを一本とロディアのNo.11、さらにクオバディスの見開き一ヶ月の手帳「プレーン」を収納する事が可能なのです。これで、とっさの際のメモが取れて、中を開く事なく月間の予定が確認できて、じっくりと一日の記録も書けるという、オールインワンの環境のでき上がりです。これだけ入れても、ハードカバーの単行本よりも場所も取りません。
キングジムの「SHOT NOTE」のMサイズが誂えたようにぴったり。裏のポケットにiPhoneを入れておけば、最強のメモツールの完成です
メモの比重を増やしたいと思えば、ロディアのNo.13と組み合わせればOK。ほぼ日手帳とロディアの13を同時に使えるのは、たくさん書きたい人にとって夢の環境ではないでしょうか。もちろん、同時に筆記具も入れられます。何より、メモがジョッター感覚で書けるのが良いですね。書いたメモは切り取って、裏側のポケットに入れておけます。カバー自体のサイズがゆったり目なので、あのキングジムのデジタル化できるメモ帳「SHOT NOTE」のMサイズがピッタリ収まるのも嬉しいですね。その収まり具合の良さは、まるで専用カバーのようです。
iPhoneと筆記具といった組み合わせも良い感じ。この裏側にメモを差し込む事も可能
他にも、スマートフォンと文庫本と筆記具と付箋、とか、「ビジネス」とUSBメモリ数本とマグライトとか、いっそ、文庫サイズのノートにペンとハサミとテープ糊で文具セットにするなど、その組み合わせは用途に合わせて自在です。そして何より凄いのは、これだけ何でも、まるでトートバッグのように放り込めて、それなのに、デザインは全然緩くない、とてもスマートでキレイなルックスに仕上がっていることです。
何故、汎用的に使える手帳カバーが、ありそうでないかというと、普通、そんな仕様にしたら、100円ショップのマルチポーチみたいな、とても大人が持つ道具にならないからなのです。そこは、革職人でもあり、アーティストでもある、cyproduct(サイプロダクト)の斎藤義幸氏だからこその発想だと思います。
次のページはより詳しくそのデザインに迫ります。