日本脳炎の原因・感染経路

ブタで増殖

無症状のブタの中で日本脳炎ウイルスが増えてしまいます

日本脳炎ウイルスに感染することで起きる日本脳炎。日本脳炎ウイルスは、フラビウイルス科フラビウイルス属で、黄熱病の原因ウイルスと同じ種類です。

日本脳炎ウイルスは、豚や、サギなどの野鳥の体内で、無症状のまま増えていきます。ウイルス感染した動物を刺した蚊(特に水田で発生するコガタアカイエカ)に刺されることで、ヒトに感染することが多いです。

ただし、ヒトからヒトへの感染はありません。日本脳炎のヒトを刺した蚊に刺されても、蚊を媒介して感染することはありません。

ヒトの体内に侵入した日本脳炎ウイルスはリンパ節で増殖し、血中を流れていきます。実は、ほとんどの人はこの時点で日本脳炎ウイルスに対する抗体を体内で作れるため、自然治癒します。症状が出ない感染ですので、「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」と呼びます。

しかし約300人に1人はウイルスが脳に侵入し、神経細胞で増殖して脳炎を起こしてしまいます。最近の発生は、2002年に8例、2003年に1例、2004年に5例、2005年に7例、2006年に7例、2007年に10例、2008年に3例、2009年に3例、2010年に4例、2011年に9例、2012年に2例、2013年に7例、2014年に2例です。多くは高齢者ですが、発症例は少ないです。しかし、2006年、2009年、2010年、2011年、2014年に子どもでの発症がありました。

2005年にマウスの脳を使ってできた日本脳炎のワクチンで急性散在性脳脊髄炎という脊髄と脳の病気が起こる可能性があったため、細胞培養による新しいワクチンが出て安全性が確保されるまで、2005年から2009年までマウスの脳を使ってできた日本脳炎のワクチンがほとんど使われなくなりました。そのため、日本脳炎のワクチン接種する人が減少していました。ワクチン接種が減った時期があったことで今後の発症増加が危惧されています。

日本脳炎の潜伏期間・症状

ウイルスが侵入して発症するまでの潜伏期間は6~16日。発症時は、突然次のような症状が起こります。
  • 頭痛
  • 発熱や寒気
  • 食欲不振
  • 嘔気、嘔吐、腹痛、下痢
  • めまい
脳炎の症状は以下。
  • まぶしがる(羞明)
  • 意識がなくなる(意識障害)
  • 表情がなくなる(仮面様顔貌)
  • 筋肉が硬くなる(筋強直)
  • 眼の動きが震える(眼振)
  • 手足が動かない(運動麻痺)
  • 意識していない動きがみられる(不随意運動)
  • けいれん
  • 呼吸が難しくなる(呼吸困難)
などがみられます。

日本脳炎の検査と診断

日本脳炎が疑われた場合、血液検査や脳波検査を行います。血液検査では白血球の数が増えていないか、髄液という脳を守っている液を採取する検査では、細胞が増えて髄膜炎と似た状態になっていないか、脳波では、波の大きさが小さく活動が低い状態になっていないかをチェックします。

診断は、髄液からウイルスそのものを検出するウイルス分離と、血液や髄液からウイルスに対する抗体検査で行います。

日本脳炎の治療法

残念ながら、日本脳炎ウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。そのため、それぞれの症状に応じた対症治療が中心となります。けいれんがある場合は抗けいれん薬、脳が腫れている場合は腫れを抑える薬を使います。

治療方法がなく、一度脳炎になってしまうとかなりの割合で後遺症が残ってしまうため、ワクチンによる予防が第一です。

日本脳炎の予後・後遺症

日本脳炎の死亡率は5~40%と言われており、子どもと老人で高くなっています。命を落とさずに治療できた場合も、歩行障害、手足の震え、けいれん発作、麻痺、知能障害、情緒不安定などの神経的な後遺症が、45~70%に見られます。日本脳炎は予防が大切。特に豚の多い地域や蚊の多い地域に行く場合は、予防接種を行うようにしましょう。
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