太陽専用のNDフィルターを利用しよう
2009年7月22日は、日本でも皆既日食が見られるとかで、大騒ぎですね。といっても、皆既日食が見られるのは一部の地域で、大半は太陽の一部が欠ける部分日食だけ。それでも、宇宙の一大イベントなので、このチャンスをビデオに撮りたいと思うのもわかります。ただし、太陽の撮影はそう簡単ではありません。まず、とても危険な作業だということを、しっかりと認識してください。
その理由は、虫めがねです。読者の方々も、一度は虫めがねで太陽光を集め、紙を焼いたことありませんか? ビデオカメラを太陽に向けると、それと同じことがビデオカメラ内で起こるのです。したがって、決してなんの方策も採らずに太陽にビデオカメラを向けるのは止めてください。
また、太陽を肉眼で見ることも,紫外線や赤外線の影響があるのでNGです。見る場合は、かならず太陽観察メガネなどを併用してください。もちろん、ファインダー式のビデオカメラで太陽を除くことなど、危険極まりありません。網膜が炎症を起こし、最悪の場合失明してしまいます。それくらい太陽撮影は危険なことだと認識してから、撮影を行ってください。
そんなに危険な太陽を撮影する方法ですが、この場合は太陽撮影専用の減光フィルターを利用します。一般的にはNDフィルターと呼ばれている減光用のフィルターですが、通常利用するNDフィルターではなく、太陽撮影専用のNDフィルターです。
ただし、現時点ではビデオカメラ対応の太陽撮影専用NDフィルターは市販されていません。市販されているのはスチールカメラ用の太陽撮影専用NDフィルターで、ケンコーから発売されています。
下の写真にあるのが太陽観察や撮影専用のNDフィルター「PRO ND10000」。太陽光を10000分の1に減光するという優れものです。基本的には、天体望遠鏡での利用がメインのようです。サイズは、100×100mm、76×76mmの2種類があります。
このフィルターを利用して太陽を撮影すれば、太陽の輪郭がはっきりとわかります。もちろん、部分日食なら欠けている部分がわかります。
▲ケンコーの太陽専用NDフィルター「PRO ND10000」
フィルターは1枚の板状ですので、スチールカメラで利用する場合は、フィルターを固定する専用のテクニカルホルダーが必要になります。ただし、市販されているのはスチールカメラ用のものなので、ビデオカメラにはセットできません。ですので、スチールカメラ用のホルダーにフィルターをセットし、それをガムテープなどで貼るなどの工夫が必要でしょう。
試しに、日常の撮影で利用するビデオカメラ用のNDフィルターで、太陽を撮ってみました。が、これはまったく使いものになりません。念のために2枚のフィルターを重ねてみたのですが、まったく減光せず、輪郭はわかりませんでした。
▲ビデオカメラ用のNDフィルター2枚重ねは完璧にNG
▲太陽の輪郭はわからないし、形も変型している
皆さんは、決して行わないでくださいね。今回は記事のために、あえて犠牲的精神で行ったのですから。
このほか、天体望遠鏡を太陽に向け、入射光を紙に反射させて太陽を観察するという方法がありますよね。太陽の黒点観察方法として小学校で教わりましたが、それと同じ方法で紙に写った太陽を撮るという方法もあります。
あ、小学校で教わったといえば、ロウソクの炎でガラスにススを付け、それを利用してみるという方法がありましたが、現在ではこれも危険とされています(歳がわかりますねぇ)。
重ねて申しますが、太陽の撮影は慎重に行ってください。なお、本記事を読んで太陽撮影を行い、ビデオカメラや機材が壊れたり、目に障害を負っても、責任は取れませんので、ご了承ください。それほど、太陽の撮影は危険な作業なのだと認識してください。
でも、皆既日食、見たいなぁ…
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