トゥアレグ・ハイブリッド見参!
アフリカ、サハラ砂漠の誇り高きトゥアレグ族から命名されたトゥアレグがフルモデルチェンジを受けた。初代トゥアレグは世界で50万台、日本でも1万台と間違いなくVWの屋台骨を支えたモデル。VWブランドのフラッグシップ、フェートンの日本導入は実現しなかったので、トゥアレグが実質的な旗艦モデルということになる。日本での登場は2003年9月だから、実に約7年半ぶりのニューモデルだ。初代トゥアレグがポルシェ・カイエンの兄弟車的存在だったのに対し、新型はフォルクスワーゲンらしさを全面に押し出してきたのがこの第二世代の特徴。なんといっても注目は、新型カイエン同様、ハイブリッドモデルの導入だ。ガソリン車はカイエンが一足先に上陸したが、ハイブリッドはトゥアレグが先になったわけだ。
パラレル方式だけど、モーターだけで走れる
まず、ハイブリッドの概要から見ていこう。エンジンはスーパーチャージャーとインタークーラーのダブル過給器を備えたV6 3.0LのTSIで、333ps/44.9kg-m。モーターの出力は46ps。エンジンとモーター、ギヤボックスを直列にレイアウトする。ホンダのIMA、つまりインサイトなどと同じパラレル式を採用する。ただし、VWのそれはホンダとIMAと異なり、エンジンとモーターを切り離せるためEV走行が可能だ。ハイブリッドの動作モードは、まず信号待ちなどでのアイドリングストップ、50km/hまでのEV走行モード(最大2kmまで走行可能)、通常走行時や加速時はガソリン走行、高負荷の加速時にはエンジン+モーターを使ったブーストモードが発動する。さらに、160km/h以下でアクセルを離すと、クラッチが切られてエンジン抵抗を受けないコースティング走行モードとなる。その際は、モーターがジェネレーターの役割を担い、エアコンなどの装備に電力供給を行うという。もちろん、ブレーキを踏むと回生ブレーキにより、エネルギーを回収。駆動方式は4WDのみだ。
注目の燃費は、10・15モードで13.8km/L。先代のV8モデルの2倍以上となる。先代が悪すぎたとも思えるが、ハイブリッド仕様が立派なのは、CO2排出量が168g/kmにとどまる点。欧州はもちろん、世界中でこれから大型SUVが生き残るにはハイブリッドは欠かせないシステムになるだろうし、新型トゥアレグが魅力的なモデルであることは間違いないが、価格が898万円とかなりお高めなのが懸念点だ。
なお、レクサスRX450hの10・15モード燃費は、4WDで18.8km/h。複雑なシステムで知られるトヨタのスプリット式だが、燃費とハイパワーの両立という点では一日の長があるし、実際に市場では特許を含めてスプリット式はトヨタの独壇場になっている。逆に、値段が高くなるのがネックなのだが。
次ページは、ガソリン仕様について