個人年金保険で贈与税がかかるのはどんなとき?
個人年金保険で家族(たとえば妻)を年金受取人に指定した契約は、税法上では次のように考えます。・年金の受け取りがスタートしたとき
保険料を払っている人(たとえば夫)が家族に対して年金を受け取る権利(年金受給権)を贈与したとみなし、贈与税がかかる。
・年金受け取りの2年目以降
毎年受け取る年金は、所得税の雑所得の対象になる。
贈与税の計算方法は近年変更に
贈与税を計算するには、まず、年金受給権の権利評価額の計算を行います。この評価方法による評価額は、実際の受け取り金額の現在価値と大きく離れているという認識から、評価方法が改正されて時価に近くなりました。平成23年4月1日以降に年金の受け取りがスタートする契約から、新しい評価方法で計算した評価額をもとに贈与税額を計算します。新しい計算方法では、下記の3つのうち、最も多い金額を評価額とします。
1)解約返戻金の金額
2)年金に代えて一時金の給付が受けられる場合は、一時金の金額
3)予定利率による金額
(給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額をもとに一定の方法で計算した金額)
3つの金額とも、保険会社に計算してもらわないとわかりませんね。
贈与税の金額の計算例
では、贈与税の金額はどれくらいなのでしょうか。以下のような個人年金保険の商品を例に、実際に計算してみました。【計算条件】
年金の種類:有期定期金(確定年金)
毎年の年金額:100万円
年金の受取期間:5年
予定利率:1.5%
解約返戻金の金額:476万5000円・・・1)
一時金の金額:479万円・・・2)
予定利率による金額:100万円×4.783(※1)=478万3000円・・・3)
(※1)予定利率1.5%の5年の複利年金原価率
1)~3)のうち、最も多い金額は、2)一時金の金額の479万円です。これが評価額となり、贈与税の金額は下記のように計算します。
(評価額) (基礎控除) (課税価格)
479万円 - 110万円 = 369万円
(課税価格) (税率) (速算控除額) (贈与税の金額)
369万円 × 15% - 10万円 = 45万3500円
※税率と速算控除額は、贈与税の税額速算表による。年金の種類が終身定期金(終身年金)の場合は、予定利率による金額を計算する際、年金受取人の平均余命年数が関係してくる。
なお、贈与税は申告が必要です。原則2月1日~3月15日の間に最寄りの税務署へ申告書を提出します。