MBAの専門科目 1
専門科目は、基礎科目を深く掘り下げた内容で、時代に合わせて変化します。例えば、ファイナンスの授業に倫理的な要素が入ったのはリーマン危機後、最近になってからです。時代に合わせるため、専門科目は外部からの非常勤講師が呼ばれる場合も多くあります。ガイドは、博士号を取得した2006年以降、慶應義塾大学と筑波大学のビジネススクールで非常勤講師として、ファイナンス分野の専門科目「資産運用論」「ヘッジファンド」について講義を持ちました。ファイナンスの先進的な1分野である資産運用と、世界で現在も進化を続けているヘッジファンド理解は、基礎科目としてファイナンスを学んでいない人には理解が難しいでしょう。ビジネススクールでは、基礎から応用(専門)に進むことがプログラム上も明確化されているのです。
MBAプログラムの方法論
ビジネススクールでは、日本の大学のように大教室で先生が一方的に講義をする授業はほとんどありません。あなたの積極的な授業参加が前提になっているのです。実際のMBAプログラムはどのような学びを行うのか。方法論をみてみましょう。■ケーススタディ
大学の学部レベルでケーススタディをした経験は、経営学部出身の人でも少ないのではないでしょうか? ケースとは、実際の企業の組織状況(ファイナンスのケースであればファイナンスの状況)を書いた読み物のこと。複雑なケースになると、数十ページに及び、付録にあらゆる会計や統計の数字が載っています。ケーススタディで、学生はケースを分析し、戦略などを提案することが求められます。
ケーススタディを採用している授業においては、学生は事前にケースを熟読・分析し、自らの視点で改善点を見つけ、その解決方法を考えてくる必要があります。これをどの程度事前にしてきているかで、授業で得ることができるものも変わりますし、授業中の発言内容にも影響しますから成績も左右することになります。
ガイドは、平均1ケース2~3時間程度をかけ事前準備していました。翌日に3科目ある場合などは、予習としてケースを読むだけでほぼ半日がかり。他にケースを分析した上でのグループ学習もあるので、夜中の3時まで勉強やグループ学習をし、朝7時に起きることが日常的でした。同期で、ビジネススクール在籍時1日平均の睡眠時間が2時間半だったという猛者もいました。
このようにケーススタディは大変ですが、毎日のように経営者の立場で様々な経営上の問題を分析・議論することは、後に経営者になった際に大いに役立ったのです。