産まない選択。8分の3は産まない人
大葉:
『うまれる』では、体を使って産むことだけが「うまれる」のすべてじゃないということも伝えています。たとえば、アメリカでは出産する女性は全体の75%。あとはステップファミリー、養子縁組、里親などで、25%は産まない人なんです。男女どちらも親になるとしても、そのなかで分娩をする人は8分の3。あとは、男性は産まず、心を使って親になるんですよね。映画に出てくる東さんは、不妊治療クリニックの看護師さんとして、次の世代の治療中の女性を母性を使って励ましています。そういった生き方が生まれていると教えてくれますね。
竹内正人:
不妊治療は始めるのは難しいですが、やめるのも難しいんです。また、不妊治療して授かったというのを隠したいという人が多いですね。双子だと治療ですか?と聞かれることも多い。治療するということは女性にとって後ろめたい、受け入れにくい部分かもしれないけれど、その時間があったから、今の夫婦があるし、自分もあるんだと思うんです。
東さんの場合は、授からなかったけど、いろいろないのちと向き合ったことで、時間が無駄ではなかった、今があるんだといつか感じられるようになるんじゃないかと思います。自分には授からなかったけど、次の世代のために、じぶんのできることをしようとしていますよね。同じ気持ちを味わった彼女だからこそ、できることがあると思います。
不妊治療に関して言えば、授かったとしても、授からなかったとしても、一般的には、その時間が受け入れられてるわけではないと思います。そのときはそう思えないかもしれないけれど、後になって思うと、きっと時間の意味を感じると思います。乗り越えるということは忘れて次に行くんではなく、体験と共存できること。意味の模索が大切なんだと思いますね。
5個の受精卵を冷凍保存して大切に持っているという東陽子さんとご主人
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