産まない決断

女性が年齢を重ねると妊娠しにくい体になっていくということは、妊娠前の女性に意外と知られていません。不妊が増えている背景には、女性の社会進出や晩婚化が関係していると言われています。

避妊せず適切な時期に仲良くしている妊娠しやすい夫婦の自然に受精する確率は40%以下、妊娠する確率は20~25%。また、妊娠しても、必ずしもすべての赤ちゃんが生まれるわけではなく、15%前後が自然に流産してしまいます。人がこの世に生まれてくる確率は250兆分の1とも言われ、いのちの誕生はまさに奇跡としか言いようがありません。

映画『うまれる』には、産まない決断をした女性が登場します。東陽子さんは日本でも有数の不妊治療の病院、ミオ・ファティリティ・クリニックの管理部長。30代のときに9年間不妊治療を受けた末に、子供のいない人生を受け入れたそうなのですが――。
 

あああああ

子どもを産む? 産まない?

 

不妊治療の今

池上文尋さん

「不妊症の背景には晩婚化も」と語る池上文尋さん(左)と大葉ナナコさん(右)

池上文尋(以下、池上):
妊娠を希望して一定期間の性生活を行っているにもかかわらず、妊娠が成立しない状態を不妊症と定義されています。頻度は10組のカップルに1組の割合といわれています。この一定期間は、日本では2年以上とされていますが、1年経過したら不妊症の検査や治療を開始することもあります。35歳以上で赤ちゃんを授かった、という方の中には、不妊治療を続けてこられた方も少なくありません。

不妊症は他の病気のように、症状が明らかに出てくるものが少ないので、他の病気にあるような身体的な苦しさはほとんどありません。しかし精神的なプレッシャーを感じる方が多いので、深く悩む方が多いのも特徴的です。不妊症で悩んでいるのは圧倒的に女性が多く、不妊の原因は女性にあると思われていることも多いですが、実際には男女半々にあります。また、原因はひとつだけではなく、いくつかの因子が合わさっている場合や、原因不明のこともあります。

大葉ナナコ(以下、大葉):
映画の中でも語っていますが、私は不妊治療に反対する立場ではありません。卵子も精子も自分たちの体の中で生まれるのですから、それらの出会いのために医療サポートを受けることに、罪悪感を持つ必要はないと思っています。医療サポートだって、夫婦の愛情と子どもがほしいと思う気持ちがなければ受けられないのですから。不妊治療という現代の医療によってうまれるいのちも、思い通りに作れるものではないし、やはり赤ちゃんは授かりものだと思うのです。

河合蘭(以下、河合):
不妊治療は、あくまでも「妊娠の手助け」です。医師たちは不妊治療という言葉よりも「生殖補助医療」という言葉を使うのですが、本当に補助に過ぎないんですね。不妊治療をする人たちの気持ちは、治療のストレスはあるけれど基本的には治療なしで赤ちゃんを待ち望む人と同じですよね。


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