消費者金融の大手、武富士破たん
消費者金融大手「武富士」が会社更生法。事実上倒産のようなものです。
武富士といえば、創業者の逮捕という不祥事や、社会的批判を浴びた取り立てなどの問題があり、消費者金融の悪いイメージを全面にうけた、多重債務問題の中心的存在ともいえる会社でした。そういう悪いイメージに過払い金の負担が重なり、今回の経営破たんという結果につながったのです。
この問題は武富士に限らず、ほかの貸金業者にも起こりうることであり、それだけ過払い金返還の負担は、貸金業者の経営を圧迫しています。
会社更生手続きって何?
会社更生手続きとは、経営困難ではあるけれど再建の見込みがある会社に、事業の維持、更生を目的に行われる更生手続きのことです。債務の清算を目的とした破産とは異なり、債務はカットする形で圧縮されますが、圧縮されて残った額の返済を続けることになります。再建を目的とすることでは民事再生法と同じですが、株式会社のみを対象にするというところが異なる部分です。また民事再生法は無担保の債権のみが圧縮の対象ですが、会社更生法では担保権者や株主も更生手続きの対象になり、更生計画で圧縮されます。合併や減増資など会社の組織再編も容易になります。
つまり、経営を続けることが困難になったため、裁判所の力を借りて経営を立て直そうという手続きのことです。
会社更生法では通常、経営権が管財人に引き継がれ、旧経営陣は会社の経営を離れるのですが、武富士は現在の経営陣が継続して経営を行うことができる「DIP型会社更生」という方法を目指すという話もあるようですので、今後も同じ経営陣で「武富士」という会社が存続するかもしれません。
武富士の債務は4000億円超、さらに2兆円?過払いは戻るのか
過払い金がある人は、早めに手続きしましょう。
会社更生法の適応を申請すると、従業員などの給料を除き、銀行からの借入金や社債などは一律にカットされます。一般の債権者に対しても同率で債権をカットする「債権者平等」というのが原則になります。
つまり、過払い金があったとしても全額の返還は難しく、何割戻ってくるかも未定です。法的整理で債権をカットし、過払い金返還に充てると予算される資産額も決められるので、過払い金返還請求をする人が増えるほど、1人当たりの返還額が少なくなります。
平成19年の貸金業クレディアの民事再生では、過払い金は30万円までの人は全額、それ以上の人は40%の金額が戻ってきました。平成21年、ロプロという商工ローンは会社更生法でおよそ3%の過払い金しか戻らなかったそうです。
今からでも間に合う?過払い金請求
過払い金請求手続きができるのは、実際に会社更生手続きを開始した4カ月以内。それ以外ですと過払い金請求の対象になれません。過払い金があるのに放置したままだと戻るはずの過払い金も戻ってきません。まずは「私には武富士に過払い金があります」という手続きをしましょう。手続きは、弁護士や司法書士の法律家がします。最近は貸金業法改正の波にのり、「過払い金請求」をCM等にしている法律家を多く見かけます。請求して過払い金があると、法律家に成功報酬を支払うことになりますが、その料金は各法律家により異なります。
請求を検討するときには、成功報酬が良心的で、かつ迅速に動いてくれる、腕の良い法律家を探したいものです。過払い金が出たのに、ほとんどが成功報酬でなくなってしまった、ということがないようにしましょう。