これまでにない存在感 「アエロス」
このビジュアルに、まず圧倒される!「アエロス」
画像提供:ルイスポールセン
「アエロス」デザイナー、Ross Lovegrove氏
画像提供:ルイスポールセン
全体の形状は比較的単純ながら、過去に目にしたことのない、この独特の存在感は、照明器具を覆う薄いアルミ板に無数に開けられた穴模様によってもたらされています。このパターンはデザイナーのラブグローブが、骨の組織を拡大した模様に着想を得たというもの。強度を保ちつつ、照明器具を驚くほど軽く仕上げることに成功しています。いったいどのように光る照明器具なのでしょうか?
実際に見た「アエロス」は意外にも、この「穴あき円盤」の中心にランプが組み込まれているわけではありませんでした。ハロゲンランプまたは放電灯の光源は、柔らかくくびれた円盤の下面に組み込まれていて、そのことによってテーブル面には明るい光を落とし、側面と上面には、一度反射した間接光が穴模様から漏れる仕組みです。「PHランプ」や「F+P550」のように、理詰めで反射光をコントロールするアプローチとは少し違うものの、「眩しさ(グレア)のない器具」というルイスポールセンの哲学は、新たな形で、この器具の中にもちゃんと息づいているようでした。
写真で見たときのアクの強い印象とは異なり、実際に目にした「アエロス」は、意外にも上品な印象だったことも、付け加えておきましょう。
オール電化住宅と照明器具
3回に渡ってご紹介した、「ルイスポールセンの照明器具」。いかがだったでしょうか?最初の回でも書いたように、照明器具はオール電化住宅に限らず、すべての住宅に必要な設備です。
それをあえて、このコラム「オール電化住宅」でご紹介したことには、二つの理由があります。
照明を、インテリアの一部としてうまく空間に溶け込ませたい
画像提供:ルイスポールセン
一つは「電気」、中でもその使い方の原点である「照明」が、ロウソクやオイルランプに変わって、私たちの生活の中で、いかに大切な役割を果たしてきたかを、照明器具の歴史を通じて今一度振り返ってみたい、ということです。太陽光に次いで第二の明かりとなった電気の照明が、どのような姿で、どのような質の明かりを人の生活に与えるべきか。この根源的な問題に対して、ルイスポールセン社の照明が取り組んできた真摯な姿勢は、「照明」のありがたさを改めて実感させてくれると思います。
もう一つの理由は、持続的な社会に向けた「省エネルギー」に必要なのは、技術的進歩だけでなく、それを「どのように用いるか」だ、ということです。
「エコ」が声高に叫ばれている現代社会で、私たちのまわりに溢れている「照明の明かり」は、本当に必要なものを、必要な場所で、上手に使っていると言えるでしょうか?ただ器具をLEDに置き換えても、もし、不必要な明かりをまき散らしてしまっていては、本当の「エコ」と言えないのではないでしょうか。
「本当に必要ではないもの」は、長い歴史を生き残ることはできません。80年以上の歴史を生き残ってきた「PHランプ」を初めとする、ルイスポールセンの照明器具たちは、私たちに改めて、そのことを教えてくれているように思います。