30~40代になると、歯周病や虫歯などが原因で抜歯が必要になることも増えてきます。抜歯後の治療法は主に2つ。歯肉に人工の根を埋め込んでから被せものをつける「インプラント」か、両隣の歯を使って橋を架けるように被せものをつける「ブリッジ」のどちらかです。何を基準に、どちらを選択すればよいのか、両者の違いとメリットを解説します。

一番気になる耐久性は、インプラントもブリッジも同等

インプラント VS ブリッジ

あまり見えない口の中。歯の被せものの耐久性は、口内環境で左右されます

誰もが気になるのが治療後の耐久性。多くの人がより長持ちする方を選択の基準にしたがるようです。

しかし私自身が日々の診療を通じて感じるのは、金属やセラミックなどの被せもの本体の破損が原因で、取れたり、外さなければならなくなってしまったりするケースは、ごく僅かだということ。

実際に取れた被せものを調べてみると、ほとんどが被せもの本体ではなく、歯茎から立ち上がっているブリッジの土台である患者さんの歯自体が、歯周病、虫歯、根の病気、噛み合わせが原因であることがわかります。インプラントについても同様で、インプラント本体が破損するケースはそう多くありません。埋め込んだインプラントと骨との密着がダメになってしまい、それが原因で外すケースがほとんどです。

つまり、選択する人工物の耐久性は、それを保持していく口内環境(ブラッシング・噛み合わせ・骨量・定期検診など)に大きく影響されると言えます。本体は滅多に壊れないので、いずれも普段の心がけで、ある程度長く使うことができると考えてよいでしょう。

インプラントとブリッジの違い

それでは、インプラントとブリッジの大きな違いは何でしょうか? 費用や治療期間などで比べてみましょう。

■ 治療費用

歯の見た目(審美的復元)をあまり重視しなくてよいのなら、健康保険で作る金属製ブリッジが圧倒的に安価。抜歯した歯が1本で、保険適応外のセラミックを選んだ場合は、ブリッジ(3本分)とインプラントの価格差はかなり少なくなります。

歯の切削
ブリッジは抜歯した後で、両サイドの健康な歯を削って、一緒に被せものをするのが一般的。歯の切削量も多くなります。インプラントは両サイドの歯は削らないので違いは大。健康な歯を削ってしまうのは抵抗があるという理由で、インプラントを選択する人もいます。それ以外では削らず歯を入れる方法は、入れ歯しかありません。

歯への負担
ブリッジは、抜歯後の残った歯に負担を共有させる方法。そのため土台の本数が少なく、歯を作る部分が増えれば、当然歯へダメージが蓄積されやすい。インプラントは新たに土台を増やすため、残りの自分の歯への負担を少なくすることができる。

治療期間
一般的にはブリッジの治療期間の方が1~3ヶ月と短め。インプラントは特殊な物を除けば、途中の治癒待ち期間(5~7ヶ月程度)を含めて、完成まで6~9ヶ月が一般的。治療期間の短さを重視するならブリッジに軍配があがります。

■ 歯の素材
見た目をより本物に近づけるよう歯の部分をセラミックで作った場合、インプラントもブリッジも歯の部分の成分は全く同じもの。ただしインプラントは骨に埋め込んだ人工歯根に直接固定するため、被せ物により高い精度が要求されます。

■ メンテナンス

入れ歯などと違い、自分で外すことなどはないので、メンテナンスの手間はいずれも同じ。歯磨きをしっかり行なうことが大切です。さらに歯科で定期検査を受けてメンテナンスを行うことで、耐久性を伸ばすことができます。


インプラントやブリッジ治療後の注意点

インプラントとブリッジの違いがわかって、治療法も決まり、一安心している人はご注意を! 抜歯後の治療では、インプラントやブリッジで治療した部分にばかり目が行きがちです。

でも、ちょっと待ってください。あなたの口の中で悪い部分は、本当に歯を抜いたところだけですか? 1回だけ作れば済むと思ったインプラントやブリッジが、反対側の歯でも必要になるかもしれません。

さらに大切なのは、インプラントを埋め込んだすぐ隣の歯や、ブリッジの土台のすぐ隣、もしこれらの歯を抜歯しなければならなくなると、インプラントをもう1本作らなくてはならなくなったり、せっかく作ったブリッジをやり直して、新たに土台を削り本数を増やして繋ぎ直したりする治療が必要になります。

作った物だけでなく、新たに起こるかもしれないトラブルに対して、長期的目線で考えること。これも治療したインプラントやブリッジを長く使うために大切なことです。口内環境がボロボロな状態のまま、お金も時間もかかる治療を安易に決めてしまうのは賢明ではありません。そのためには今、口の内がどんな状態で、今後どのようになりそうか、少し先のことまで予想することが大切なのです。

もし心配なことがあれば、かかりつけの病院や治療を行なっている歯科医に相談することをオススメします。
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