ED治療薬は陰茎の勃起を助け、持続させる薬ですから、体に問題がなく、精神的な原因で起こる心因性EDの患者さんには、特に高い効果を示します。
ED治療薬は本来、それを飲むことで満足な性交を行えるだけの勃起をもたらすための薬です。しかし、性交ではなく、自分を高める目的で用いている人もいるようです。
朝立ちは“夜中の素振り”の仕上げ
目覚める直前に起きる夜間勃起の「朝立ち」で充実感を覚える男性は多い
朝立ちは、目覚めたときに勃起している状態ですが、睡眠中の勃起は1回だけではなく、何度も繰り返しています。これを「夜間勃起現象」といいます。高名な先生は“男の夜中の素振り”と名付けています。本番のゲームに備える一種の自主トレに例えたものです。
よく知られているように、睡眠には浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)があります。2つの眠りは交互に訪れ、レム睡眠のときに勃起を起こします。
朝立ちは、目覚める直前に起きた最後の勃起です。このため、1日の始まりと共に確認できる勃起で充実感を覚える男性は少なくありません。「朝立ちは元気の源」といわれるのもそのためです。
朝立ちは「EDの種類判定」の目安になる?
朝立ちが見られるのはレム睡眠に続いて目覚めたときですから、当然、ノンレム睡眠から目覚めたときに、朝立ちは見られません。ですから、朝立ちの有無だけで、EDかどうかを判断することはできません。また、血管や神経など体に問題があることで起こる器質性EDの場合にも、朝立ちは見られません。
朝立ちにつながる夜間勃起現象は、健康である限り生涯起こるといわれる生理現象です。先ほど、朝立ちの有無だけでEDかどうかを判断できないといいましたが、夜間勃起現象はEDの種類を探る手立てにはなります。
例えば、EDを訴えている患者さんのEDの原因が心因性である場合、睡眠中は精神的なストレスがないので夜間勃起現象は正常に現れます。
しかし、高血圧や糖尿病、脂質異常症など、動脈硬化に関係のある生活習慣病を原因とする器質性の場合には、夜間勃起減少の時間が短くなり、やがて、起こらなくなります。
潜んだ病気が見つかることも
EDは、陰茎へ血液を供給している細い血管に起きる、動脈硬化の症状です。つまり、EDには心筋梗塞や脳卒中などより重大な動脈硬化の可能性を知らせる役目もあるのです。ですから、シアリス、バイアグラ、レビトラのようなED治療薬を服用して効きめがあれば、EDの改善ばかりでなく、その裏に潜んでいる生活習慣病のあぶり出しにも役立つというわけです。
考えてみると、性行為をするかどうかに関わらず、健康で正常な勃起は男性にとって生活の張りを示すバロメーターとしての役割を担っていることが分かります。
ED治療薬は快適生活のためのアイテム
EDは生死に関わる病気ではありません。このため、生活習慣病の要素を備えていながら、長い間、社会的にも医学的にも、軽く見られがちでした。年を取れば多くの人が老眼になります。実際、40歳を過ぎると、新聞やパソコンの小さな字を見にくいと感じる人が増えてきます。このときに助かるのが老眼鏡です。
老眼と老眼鏡との関係は、EDとED治療薬との関係に例えることができます。老眼鏡もED治療薬も生活を快適にするための優れたアイテムといえるでしょう。
ED治療薬には、勃起不全を改善するだけでなく、満足のいく性交を可能にすることで、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を高め、幸福な人生をもたらす働きもあります。
ED治療薬が、男性であることの自信や、人生の質を高めるライフスタイルアイテムとしても有用であることを物語っているようです。
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