雑貨/ナチュラル・シンプル雑貨

前田まゆみさんのリネンの本

前々から楽しみにしていた、前田まゆみさんの「リネンが好き」がこのたび出版されました。リネンの原料って、とってもかわいい青い花を咲かせるのですって。知ってました??

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド



前々から噂に聞いて、ずっと楽しみにしていた、前田まゆみさんの著書、「リネンが好き」 がこのたび出版されました。 さっそく読んでみると、リネンの原料がフラックスという、 小さく儚げで優しい青のかわいい花であること、そこからどうやってリネンが 出来るのか、という詳しい工程から、ヨーロッパの昔の女性の針仕事など、リネンの歴史のこと、さらに、リネンのお手入れ法、洗濯の仕方、そしてリネン小物の作り方など、リネンに関するあらゆる情報が網羅されていて、わくわくしたり、ためになったり。リネンに対する想いがますます深まるような内容でした。

フランスにいたとき、おじいちゃんが使っていた、というリネンのキッチンクロスで毎日お皿を拭いていたのですが、これが一見なんのかわいげもない、白くて古い布切れなのです。しかし水の吸収力がすばらしく良くて、お皿をたくさん拭いてもへこたれず、すぐにパリッと乾いて、あまりの使いやすさに感激したことを思い出しました。 また、あちこちの蚤の市でリネンを見る機会もあったのですが、各家庭でイニシャルを刺繍し、大切に使われていた様子が目に浮かぶようでした。

前田さんは自ら、フランス・ノルマンディーにある、フラックスの畑へ出かけていったのだそう。 前田さんのリネンに対するそこはかとない愛情が、本全体から伝わってくるようです。読んでいくうちに 自分もリネンに包まれているような、心地よい感触を一緒に味わっているような気分になれるのでした。 そこで、楽しい旅のエピソードなどを交えて、前田さんにお話を伺いました。




リネンが好き  Everyday with Linen
前田まゆみ著
撮影:公文美和 前田怜嗣 前田まゆみ
ブックデザイン:井上庸子
イラストレーション:前田まゆみ
文化出版局  定価1500円(税別)



前田まゆみ プロフィール

1964年神戸市生まれ
B型・魚座
1990年イギリスでフラワーアレンジを学ぶ
おもに草花をテーマに、いろいろな作品を つくっている
HP: http://www.lin-net.com



・今回リネンの本を出すことになったきっかけとは?

リネンの原料は、フラックスという青い花の咲く植物です。 わたしは、もともとフラックスが大好きで、 10年くらい前から毎年育てています。 リネンに特別な気持ちをもつようになったのも、 リネンがフラックスからできることを知ってからです。

フラックスのことは、ハーブの図鑑などに載っていて、 ガーデニング、ハーブのジャンルでは、ちょっとマニアックに 人気がある植物ですが、 リネンの原料がフラックスだということは それほど知られていないようです。

で、6~7年前のことになりますが、 「リトルガーデンのしあわせ」(筑摩書房)という本に フラックスの原稿を書きました。 そのときに、ふと、ハーブの本では フラックスについて、その本によって「亜麻」「麻」「リネン」の 原料、と言葉が違っているのです。亜麻と麻とリネンは 同じ意味なのか、違うのか、原稿に書くのだから ハッキリさせよう、と思って調べたのがキッカケです。 当時、日本語でそれを教えてくれる本などが全く見つからなくて、 外国の本などで苦労して調べていくうちに、 リネンメーカーの方に教えていただく機会もあって、 やっとわかってきました。 わかったときには、その情報が、すごく貴重なものに 思えて、 わかりやすい文章にしてまとめておきたいという気持ちが 生まれました。


・どんな内容の本なのでしょうか、ご説明ください。(私はもう読んじゃったのですけど)

(上のことが理由で)この本は、リネンが何なのか、 どんなふうにしてフラックスからリネンができるのか、 そういうお話からはじまります。 それから、フラックスの繊維の特徴などにも 触れています。 ふだんリネンを使ったり、実際にお店でリネンを選ぶときにも、 こんなふうに、基本的なことを知っていると、 ずい分いろんなことがクリアになると思います。 そのあと、ヨーロッパでのリネンのこと、 アルファベット刺繍のことなど、 文化史的なお話が少しと、 実際にリネンを使うときの使い方や、洗濯の仕方、 しまい方、またリネンで作る小物のアイデアなど、 実用的な内容がつづきます。 また、ガーデニングに関連して、 フラックスの育て方にも触れました。

・もともとリネンがお好きだそうですが、具体的にどんな ところが好きですか。特にこんな種類のものが好き、 というのがありますか?

まず、あの、しどけなく垂れる質感。 言葉ではうまく言い表せませんが、 ナチュラルだけれど陰影があって、 おとなっぽいところが好きです。 あと、わたしは無地がたいへん好きなのですが、 無地でも安っぽくならない所が好きです。

・リネンの畑へ行かれたそうですが、そのときの感想などお聞かせください。

感動の一言でした。 どこまでも続く水色の畑は、湖みたいです。 フラックスがシャラシャラと風に揺れている音も 忘れられません。 ふだんの暮らしでリネンを使っていても、 いつも、そのリネンの原料のフラックスが 青い花を咲かせ、風に揺れていた様子を想像します。

・本を作るに当たって、楽しかったことはなんですか? 大変だったこと、ハプニングなどはありますか。

今回、わたしが一番みなさんにお伝えしたかったのは、 フラックスからリネンができるというそのことそのものです。 フラックスという花を知っていただくと それがどんなにステキなことか、 感じていただけるのでは、と思います。

でも、原料からはじめる話は、 前例のない全く新しい内容だったので、 企画内容に共感してくださる編集者の方に 出会うまでが大変でした。

今回の本は、わたしが思いついた企画だったのですが、 それを形にする大変さを、今回改めて実感しました。 でも、結果的に、共感してくださる編集者、デザイナー、カメラマンと 出会え、またこの本にピッタリな出版社から刊行される縁を得たことは 本当にラッキーでした。



前田まゆみさんとの楽しいお話はまだまだ続きます。なんとリネンのイベント情報も!

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