銀座はビルの森。大きなデパートもある一方、雑居ビルの中に小さなお店やカフェ、ギャラリーが ひっそりと佇んでいます。気が付いたら森の中をさまよい、お菓子の家を見つけてしまったヘンゼルとグレーテルのように、ちょっとドキドキする魅惑的なギャラリーを見つけました。 ときには古いビルの中に忍び込み、勇気を出して重たい扉を開けてみるのもいいかもしれません。
こんなエレベーターがありました。
半月型のメモリがぎゅーんと動いて、階を知らせる旧式エレベーター。 蛇腹の重い扉を、がんばって押さえながら乗り込みます。
左:ビルの中の様子。時が止まってしまったようです。
右:ギャラリーの入り口。ほのかな灯り。
エレベーターは6階、7階しかボタンがないので、ゆっくりと階段を 降りていきましょう。古いビルの風情を楽しみながら。4階まで降りると、 目的のギャラリーがひっそりとあります。
このとき開催されていたのは、ガラス作家・中野幹子さんの個展でした。 テーマはご本人が小さな時から気になっていたという「窓」。
暖かな生成り色の壁に点々と作品が並ぶ
入り口付近には優しいパステル調の色合いで、繊細な細い線で模様が描かれた、小さな器が ちょこんちょこんと並んでいます。ひとつひとつがため息の出るようなこまやかさです。
窓越しには光に映えるような透明ガラスの作品。
銅版画のように細い線でゆるやかに模様が入っています。
窓辺には透明の器たち。細くゆるいカーヴの入った線が控えめに入っています。昼間と夜で見える雰囲気も変わるのだそう。奥には優しい色合いで気の遠くなりそうなくらい細やかに模様の入った器たちが、こじんまりと 行儀良く並んでいます。幻想的な龍や妖怪たちの絵のものもあって、ほのぼのと優しくおちゃめな顔で、ふんわりと不思議な世界を醸し出していました。小さな歌声が聞こえてきそう。絵を描いてからもう一度さっと火を通して回すそうで、 ゆっくりとリズミカルに流れていくような独特の曲線になっています。
上左:繊細で優しい模様が入っています。
上中:妖怪の絵の器が並ぶ棚。窓にちなんだお化けもいるのだとか。
上右:透明な窓部分からキャンドルの灯りが漏れます。
下左:黒い鉄枠の錆びも趣のある窓。
下中:窓のイメージでところどころを透明にした器。
下右:風鈴が静かに揺れていました。
中野さんは作品のイメージにぴったり合った、小柄でかわいらしい、お菓子のような人でした。 ガラス作りは肉体労働、というイメージがあったのですが、こんな方が作っているなんて、 小さなオドロキでした。ご本人は淡々と「女性の方も結構多いですよ」と話されていましたが。
中野さんのガラス展は6月14日(土)まで開催されています。
中野幹子 ガラス作品展 「窓」
2003年6月5日~14日(土) 12:30~19:00(最終日は17:00)
Exhibition Space Ecru + HM (エクリュ+エイチエム)
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F
Tel & Fax 03-3561-8121
こちらのギャラリーでは今後も魅力的な作品の展示が開かれています。 6月16日~24日は木曽志真雄陶展、6月26日~7月8日はウスタニミホ展(テキスタイル)。 その後は夏らしいガラス作家や陶芸家が続きます。
★中野幹子さんのHPはこちら
Kan's table
http://www.ideaquest.co.jp/kan/index.html
その他、アーティスト・デザイナーを探したい方はこちら
http://allabout.co.jp/living/zakka/subject/msubsub_desinerandartist.htm
その他、ギャラリーを探したい方はこちら
http://allabout.co.jp/living/zakka/subject/msubsub_musium.htm