雑貨/北欧・ヨーロッパ雑貨

ニュアンスのある白のうつわ

アスティエ・ドゥ・ヴィラットの衝撃ディスプレイ。パリ本店の様子や、このうつわを扱う青山のショップ、オルネ・ドゥ・フォイユのご紹介です。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

Astier de Villatte
PARISのAstier de Villatte店内
パリのフォーブル・サントノレ通りといえば、ブランド街。高級ブティック が軒を連ねるエリアである。パリを訪れても、普段はあまり近寄らないエリアだったのだけど、 この通りのはずれの方においしいコーヒー屋があると聞き、 前々から一度入ってみたいと思っていた。今回はその念願をかなえるため、 身分不相応なエリアに思い切って足を踏み入れた。

コーヒー屋を目指しつつも、話題のコレットやらおいしいショコラティエなどを キョロキョロと覗き、あちこち寄り道しながら向かう。もうすぐ到着、というところで、 古びた窓枠の向こうに楚々と並ぶ白いうつわの光景を見た。思わず窓に張り付く。 一緒にいた友人も目を丸くする。しかし昼休み中で店は閉まっている。 「すごいね、ここ」といいながら、はやる気持ち抑えつつ、コーヒーを飲んだ後、また来ることにする。

大きなカップ ジャグ
白いうつわが並ぶ

すっかり腹ごしらえまでして、もう一度その店を訪れた。 今度は開いている。天井までの高さの棚が壁一面に備えられ、 様々な形の白い陶器やガラス器が並んでいる。 外から見ると、こじんまりとしたイメージだったが、中は広く、2階と地下もある。 洞窟のような質感のある壁や古びた階段。壁紙ひとつにも風情を感じる。 2階と地下は1つの部屋をイメージしたディスプレイで、大きなベッドやピアノ、椅子などが ゆったりと置かれていた。

赤い部屋 白い部屋
まるで中世のお屋敷のようなインテリア

衝撃的な空間にしばし息を呑む。二人とも無言で階段を行ったり来たり。 そして白いうつわの前でため息をつく。決して安いものではない。 しかしこのうつわが食卓に並ぶ光景を想像するとドキドキする。 なんと言ってもこの白の何気なさ。一見雑なようにも見える微妙な色の濃淡は、 全て計算しつくされている気がする。 ただ”白”と表現するには申し訳ないほど、 しかしどう表現したらいいのか分からない、ここだけの白なのである。 そうしてさんざん散々悩んだ挙句、ようやく選んだうつわを大事に抱えてパリを発った。

棚に並ぶうつわ

Astier de Villatte(アスティエ・ドゥ・ヴィラット)
173 rue Saint-Honore 75001 Paris
tel 01 42 60 74 13
fax 01 42 60 74 19


オルネ・ド・フォイユ
アスティエを使ったクラシカルなディスプレイ

「アスティエ行って来ましたか。よかったでしょう」。日本でフレンチインテリアショップ、 オルネ・ド・フォイユを オープンした谷さんと話す。谷さんの店ではアスティエ・ドゥ・ヴィラットのうつわを大々的に取り扱っている。 まるで本店のように、天井まで届く大きな棚は、フランス人の友人に作ってもらったそうで、 新しいもののはずなのに、どこか古びた味わいがある。「フランス人はこういうの得意なんです。 もともと何世紀も昔の家に住んでいるので、合わせるためにわざとこういった質感を出すんです」。 聞けばアスティエの本店も、決して古いのではなく、古びた雰囲気に作り上げているところ もあるんだとか。しかし私達にはまったく区別が付かなかった。恐るべしフランスの匠。

オルネ・ド・フォイユ オルネ・ド・フォイユ
こちらも棚にずらっとうつわやガラス器が並ぶ。

アスティエの陶器は全部手作り。パリに工房を構えている。 アンティークの型からインスピレーションを 受けてデザインしているのだそうで、クラシックなフォルムでありながら、 どこかぎこちないゆがみやガタツキがあり、そこが魅力だと、谷さんはいう。 ひとつひとつ形が違い、人の手のぬくもりや温かみがある。 日本の楽焼からも影響を受けているらしく、 そういわれてみると、和食を盛っても馴染みやすそうな感じである。 小さな皿に和菓子をちょんと乗せた、絵になる光景をとある雑誌で 拝見したこともあった。 いわゆる西洋陶器のようなつるっとした手触りではなく、表面の微妙なもこもこ感や 色ムラは、日本の陶芸に通じるものがある。

編み糸に包まれたビン 編み糸に包まれたビン
花のモチーフが掘り込まれたデザインもある。

谷さんはかれこれもう10年以上フランスに住んでいる。 だから今まで日本にはなかったような店を作りたかったんだそう。 日本人から見たフランスではなく、フランス人から見たフランスを 表現したかったという。 店内は広々とした窓から自然光が溢れ、まるで田舎の一軒家を訪れたような、 ゆったりとした雰囲気で、どこか懐かしい気分がよみがえる。 セレクトされた商品もただかわいいだけではなく、大人っぽい落ち着きがある。 フランス人好みの、オリエンタルでエキゾティックな雰囲気のものも扱う。 また、伝統工芸であるブティ(繊細にステッチを刺したキルティングのような布地) やアンティークのカフェオレボウル、ガーデニンググッズなど、 フランスの暮らしに根ざしたものが中心となっている。

アンティークの遊具 カフェオレボウル
伝統工芸のブティ ろうそく立て
本当のフランスらしさを満喫できる店内
Orne de Feuilles(オルネ・ド・フォイユ)
東京都渋谷区渋谷2-3-3 青山Oビル1F
TEL:03-3499-0140
OPEN:12:00~20:00 月曜定休
http://www.ornedefeuilles.com/


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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