古きよき日本の町並みが残るエリア、谷中。お惣菜屋さん、八百屋さんなど、 ちまちまとしたお店が建ち並ぶ 商店街の奥まった一角に、小さなアトリエがありました。
ブリキの看板を見逃さないように、路地の奥に入っていきます。
古い日本家屋はもともと洋裁教室をやっていたおばあちゃんから引き継いだもの。 ガラガラと引き戸を開けて、中へ入ります。入ってすぐはギャラリーショップに なっていて、小さなオーナメントから、ランプ、ミラーまで、ガラスでできた 様々な作品がキラキラとひしめいています。 ガラスでできたバレリーナが動く、白鳥の湖の小さな舞台、 妖精が住んでいるという、幻想的に瞬くランプなど、乙女心をくすぐる魅惑的な作品 は見るだけでも楽しいものばかりです。
どこか懐かしさのただよう店内
従来の技法だけに捉われず、自由な発想で作られたガラス作品。
nidoというアトリエ名は「巣」という意味のスペイン語。 巣に集ってくれる人たちを大切にし、たくさんのガラス作品が巣立って欲しいという願いが こもっています。nidoは女の子3人組のアーティストユニット。 ステンドグラスのスクールなどで巡り合い、 小さな頃からビー玉などガラスという素材が好きだったりして、 それぞれに個性はありつつも、3人とも見ている方向がぴったり合ったそう。
3人で組むことになったのはおととしの夏ぐらいから。 nidoを立ち上げる際、ステンドグラスをイメージしてたくさんの言葉を書き出しました。 具体的な言葉で表現することによって、 それぞれが考えていることがはっきりとして、あまりズレがなかったことも発見。 言葉の大切さ、面白さを改めて実感した瞬間でした。 それからは3人でやることにも自信が湧き、方向性が定まったそうです。
アトリエでの作業風景。
古い木のテーブルも洋裁教室で使われていたもの。
ステンドグラスを作るのって実は結構大変です。 デザインを考えたらまずガラスを切る作業。割れるものだから、失敗は許されません。 切ったガラスには絵付けをして窯で焼いたり、 ガラスとガラスを貼り付けるフュージング、石膏で模様を付けるスランピング など、様々な加工を施します。 最後にカッパーホイールという金属製のテープで、ガラスの破片ひとつひとつの周りをぐるりと包み、 パズルのように組み合わせて半田付けします。建築用の大きなパネルを作るときには、 溝の付いた重い鉛線を組んで、パテで固めることもあります。 地道で手間のかかる作業ですが、色とりどりのきれいなガラスたちを見ていると、 ワクワクと気持ちの弾む作業でもあります。
アトリエで見つけたかわいいものたち。
上左:手作りで布を張った古い椅子
上右:たまにやっているおばあちゃんのバザーで見つけた戦利品
下左:パーテーションもガラスで手作り
下右:ガラスを焼く窯の下に敷き詰めたタイル。模様がかわいい
アトリエは洋裁教室の風情を残しつつ、自分達が使いやすいように 手作りで改装しました。 床の板張りから壁塗りまで全部自分達で作業しています。 こうしたノウハウもあったことから、最近はカフェの内装をプロデュース。 お店で使うランプや壁にはめ込むガラスをデザインするだけでなく、 それ以外の細々としたところまでアドバイスしたそうです。 今後はガラスをメインにした空間プロデュースにも力を入れて行きたいとのこと。 帰りに寄ったカフェのオーナーからも、頼りにしています!とのお墨付きをもらいました。
北京に住んでいたというオーナーが作ったカフェ。
飾り窓やランプはnidoのもの。 おいしいお料理や中国茶の種類が豊富。
昨年は三越やBunkamuraなどで展示会に参加。今年は初めてアトリエでの作品展を 開催します。大きさやかたちも様々な箱を出展します。
はこ展
2005年2月11日(金)~20日(日)
大きなはこ、小さなはこ、トランプケースや壁掛けキーケースなど、 変わったはこが並びます。
nido(ニド )
東京都台東区谷中3-13-6
tel 03-3824-2257
11:00~19:00 定休日:水曜日
http://nido.in.coocan.jp/
アトリエでは一日体験教室もやっています。初心者でもできるように、 簡単な手鏡を作るコースになっています。 1回3,500円で2名以上の予約制。1人で参加したい場合は日曜日なら 教室を開いてくれるそうです。詳しくはお問い合わせください。
教室で使われる色とりどりのガラスたち