雑貨/ハンドクラフト・工芸

国立・匙屋 人が交わる温かな場所(2ページ目)

コツコツと丁寧に匙を作り続けた、さかいさん夫妻のお店です。何度も漆を重ねた匙は、しっとりと艶やかな表情で、ずっと眺めていたくなります。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

作品
木と漆が醸し出す、奥深い質感



漆の良さをコツコツと伝えたい

左上が赤ちゃん用「初めての匙」。木皿やおもちゃも作っています 匙屋では、あつしさんが木を削り、形を作る係。かよさんが漆を塗って仕上げます。 夫婦の共同作業でひとつの作品ができあがるのです。 漆を重ねるほどに木の表情が深まり、塗る手が止まらなくなってしまう、と語るかよさん。 「高価なもの、というイメージが強い漆ですが、日本では昔から親しまれて使われてきたもの。 そんなに大げさなものじゃないんです。普段にじゃんじゃん使っていいんですよ。 でもきっと、食事の時間を少し豊かな気持ちで過ごせると思うんです。 匙を通して、漆の良さをコツコツと伝えていけたらいいなと思っています」。


アトリエをちらり

匙を作るための道具たち お店の奥は小さなアトリエ。主に漆を塗る作業をここで行っています。 左上の写真が作業する板。右上は仕上げ途中の匙たちです。 漆を塗ったら、室(むろ)に入れて乾燥させます(写真左下)。 塗っては乾燥、を何度も繰り返し、なかなか手間のかかる作業。 季節やお天気によっても、微妙な変化が起こります。 植物を育てるように、漆のご機嫌を伺いながら、毎日向き合うのです。 写真右下は染料が入った瓶。実はワンカップのお酒の空き瓶を利用しています。さかいさん夫妻はお酒好きのようで、このお店はたまの夜に、立ち飲み居酒屋に変身するんだとか。


ふわりと気持ちが上がるような場所に

様々なアーティストの作品も並ぶ お店には、ガラス、陶芸、オブジェなど、親しいアーティストの作品も並びます。 青いお皿は陶芸家・須藤拓也さんの作品。小さな花器は和田麻美子さんです。 ものを紹介するだけでなく、その背景まで感じてもらえたら嬉しい、というさかいさん夫妻。 「お店というより、地域と繋がれる場所だと思っています。 紙に水が滲んでいくように、ゆっくりじんわりと溶け込んでいきたい。 様々な人が行き交って、ふわりと空気が温かくなるような、そんな場所になれたらいいですね」。

作品
さかいさんとアーティストたちのコラボ作品もあります




作品
アトリエ
作品
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