雑貨/古道具・アンティーク

griffith 暮らしがちょっぴり潤う道具

大阪・南船場にある、生活道具を扱う店です。入ったとたん、別世界!モノクロ映画のワンシーンのような風景が広がっています。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド



大阪へ行ったらたこ焼きを食べて、太陽の塔を見て、通天閣に上って、 なんばグランド花月へ行く・・・。ああ~、お腹いっぱい。ありきたり過ぎて申し訳ないのですが、 大阪から連想するイメージは、 未だギラリとディープなコテコテ感。 だから、今回ご紹介するお店・griffith(グリフィス)は「私の中の大阪」を見事に覆す、 対極的な空間でした。 しっとりと情緒的で、まるで静物画の中にいるような錯覚。 白い壁に囲まれて、教会のような穏やかな静けさに包まれていました。

OPENの印

古い木版の活字がオープンのお知らせ。


日々を豊かに暮らすささやかな道具たち

2Fへ上がると、修道院の食卓のような風景が・・・。
飲食店やアパレルショップが立ち並ぶ、賑やかな南船場の街。 とはいってもあまり大きな真新しい商業ビルは建たず、古い建物をうまく利用して、 ちょこまかといろんなお店がひしめいているのがなんだか面白い。 お酒を飲んでいなくとも、なぜか気分としては千鳥足になってしまう。 ふらふらとあっちこっちをさまよいながら、小さな店をひょっこり覗き込むのが楽しい場所なのです。 そんな街の一角に紛れ込むように、このお店はありました。

白い壁に木の床。店内は古いアトリエのような実験室のような雰囲気で、 ヨーロッパのアンティークや不思議なオブジェが混在しています。 回遊魚のようにふらふらしていた自分も、ピタリと立ち止まり、しばし呆然。 一体ここは大阪なのでしょうか? ちょっと背筋を伸ばして、服のシワをぴんと整えてから、 もう一度、ゆっくりと見渡してみます。


店内写真

心穏やかに暮らせそうな道具が並んでいます。


店内はすっきりと統一感があり、もの選びの潔さを感じさせますが、 緊張感があるわけではありません。 古いものや手作りのものには人の手のぬくもりがあるせいか、 じんわりと気持ちがほぐれるような温かさがあります。 例えば器は、陶芸家や木工作家、ガラス作家の手仕事によるもの。 ぽつぽつと控えめに並ぶ清楚な姿が凛として美しいのは、 作家の思いが写されているからでしょうか。 モノトーンカラーのシンプルなかたちばかりなので、暮らしに馴染みやすく、 使い勝手も良さそうです。

ほっこり笑顔がこぼれる店

映写機で写された、モノトーンの映画。
雑貨や生活用品が好きで、いつか二人でお店を開きたかったという店主、小野さん夫妻。お互いに雑貨店や メーカーなどで働きながら、静かに夢を温めていたそうです。 2006年に念願が叶い、お店をオープン。 自分達が使ってみて良かったもの、長く親しまれてきたものなど、 暮らしがささやかに潤うようなものを選んでいるとか。 まだ一年ちょっとしか経っていないそうですが、 店内はやや朽ちて色褪せた風情があり、永く時を経たような不思議な時間が流れています。 古びたランプがぼうっと光を放ち、錆びたクギが柱に影を落とし、 乾燥した草花たちは、標本のように大切に、静かにガラスの中に収められて・・・。 小さなコーナーに、ハッとするようなシーンが少しずつ散りばめられ、 思わずまたひとつ、ため息をついてしまいました。


次ページでは、暮らし道具とディスプレイシーンをご紹介します。
店内写真
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