雑貨/古道具・アンティーク

世田谷・grameのインダストリアル空間

東京・世田谷通り沿いには、ぽつぽつといいお店が潜んでいるようです。今回は、無骨でメカ的なインダストリアル系アンティークが多く集まる、工房のような店を訪れました。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド



外観

この看板が目印。階段を上がって2階です。


町の片隅に人知れずひっそりと存在しているアンティーク屋さん。 興味がなければ、気づかずに通り過ぎてしまうことも多いかもしれません。 危うく通り過ぎそうになったこのお店は、世田谷通り沿いの小さなビルの中にありました。 世田谷線の上町駅から、10分ほど歩いたところ。 松ヶ丘交番を通り過ぎ、「しらとり」という風情のあるレストランの 2階がお店になっています。看板を頼りに、 車庫の脇にある目立たない階段を上がって、ようやくたどり着きました。


ロフトのような工場のような、寡黙でインダストリアルな空間

作業中の工房のような雰囲気。
大きな木の扉を開けると、店内はまるで機械の修理工場か何かのようです。 セピアカラーの部屋の中には、鈍い光を放つ金属製の工具や部品があちこちに並べられ、 作業の途中という感じ。これから組み立てられるのを待っているかのようでした。 お店の看板がなかったら、間違えました、と言ってそそくさと去って行ったかもしれません。 ちょっと見ただけでは、一体何に使われていたものか分からない、 オブジェのような不思議なパーツが、ところ狭しとぎっしり並んでいます。 一見無愛想で素っ気無く、無造作にも見える物体の陳列。しかし、 店主がひとつひとつ密かに胸を高鳴らせて選んできた、静かな魅力のあるものたちなのです。

店内の様子
フランス、チェコ、ハンガリー、ドイツ、日本など国籍、年代はバラバラ。


学生の頃から古いものが好きだった、という店主の川内圭介さん。 大阪育ちという環境もあってのことか、 最初の興味は古着だったそうです。そのうち古着屋で一緒にディスプレイされている ジャンクな小物などにも興味を持ち始めました。 当時初めて買った古道具は、 なんとおしぼりを蒸すためのケース! しかも電気製のものではなく、 お湯を沸かしてタンクに入れるとおしぼりが温まる、というちょっと原始的なものでした。 そのときは、”これが家にあったら面白い!”というウケ狙いが目的だったそうです。 さすが関西人! 大学生の頃には、スタイリストのアシスタントのようなこともやっており、そのときに出会った師匠から、大きな影響を受けました。 撮影のスタイリングを始め、内装デザイン、ガーデンデザインなど幅広く活躍されている方だったそうです。 お店のイメージは、そういった様々な環境からインスピレーションをもらっているとのことでした。


パレットを組み合わせたユニークな棚

様々なお宝が隙間に潜む。ちょっとワクワクします。
この店は、元のハコをうまく利用し、ほとんど手を加えずに、 即興でアイディアを駆使して仕上げました。 コンクリートむき出しのやや荒れた床に白い壁、素朴なアルミサッシの窓など、 何もしなくても十分な雰囲気があります。 運送会社から使い古された木のパレットを大量に譲り受け、 それを積み上げて棚のようにしました。 その隙間に、やっぱり使い古されたパン焼き用の鉄板を差込み、引き出しの役目を果たしています。 鉄板を引っ張り出すと、商品が並べられているという、 ユニークな陳列方法。 入り口の大きな木の扉は、3日かかって手作りしたという力作です。 こちらもパレットを一部解体し、入り口の大きさに合わせて切ったりつなげたりして 作ったそう。なかなか思うように大きさが合わず、苦労したそうです。 「素人仕事なので、今もまだガタツキがあるかも。 気候などによっては、扉が開けにくいかもしれません(笑)」。

入り口扉
どっしりと風格のある扉。


次ページでは、並べられた古道具をクローズアップ。
店内
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