店名は茶人・小堀遠州へのオマージュ
静かに厳かに道具が並びます。 |
元は麻雀屋だったという、築45年程の建物。 リフォームする前はとにかくボロボロで、 屋根はたゆんで歪んで、雨漏りが相当ひどかったとか。 基礎的な部分はプロの大工さんに頼みながらも、 できるところは自分たちも加わって、一緒に改修作業を行ったそうです。 「思った以上に大変でしたね。玄関の扉は、木の板を鉄で覆って作ったものなんですけど、 ものすごく重くって、大の男が4人、女性2人の計6人作業でした。 扉や鉄枠などは、将来的にはオーダーメイド商品として 販売できたらいいなとも思っているのですが、 今はそのために自分たちで実際に使ってみて、 検証しているところです。ここは実験空間でもありますね」。
無骨な中に、不思議な居心地のよさがあります。
店内に並んでいるのは主に日本の古いもの。器は幕末くらいのものも あったり、昭和初期の懐かしい家具がぽつんと置かれていたり。 シンプルでやや渋みがかった質感、自分の普段の生活に 取り入れられるもの、そしてインスピーレションも大切にものを選んでいるそう。
店名であるENSYUは、小堀遠州から取ったもの。 無相創のオーナー、ヨネハラさんの名前は 「マサカズ」で、これは江戸時代初期の茶人・小堀遠州の本名、小堀政一から取って、おじい様に名付けられた のだそう。遠州は、書画、和歌にも優れ、美術工芸にも造詣が深く、 さらに造園家であり建築家でもあった、類まれなる才能の持ち主。 遠州の暮らし全般にまつわる美意識は、ヨネハラさんのもの創りに対する姿勢にも 大きな影響を与えているのでしょうか。 また、ENSYUという音の響きは、縁集(縁で集う)、円周(全ては円く繋がる)など とも読めるので、それらの意味も込めて、この名前を付けることにしたそうです。
右上の写真のアーチ型は、ベルギーの古い扉をリメイクしたもの。
左下の窓は、自宅である2階から下を覗けるように、天井に付いている。
右下の革皿はお会計用に手作りしたもの。ころんとした形が魅力。
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