くも膜下出血とは
2010年4月2日、読売ジャイアンツの木村拓也コーチが、試合前の練習中に倒れ、4月7日帰らぬ人となりました。病名はくも膜下出血。くも膜下出血は現在でも年間約1万4千人の命を奪っており、医療が発達した現在でも怖い病気の一つです。脳は複数の膜で包まれていますが、そのひとつが「くも膜」です。脳内の血管が破れ、くも膜の内側で出血してしまうことをくも膜下出血といいます。発症した場合は1/3の方々が亡くなってしまう怖い病気ですが、不治の病ではありません。病気の兆候に気づいた時点で、なるべく早く脳神経外科の専門医を受診することで、危険を回避できる可能性があがります。
くも膜下出血の原因
頭部CT検査。白く写っているのがくも膜下出血で、脳全体に広がっているのが分かります。頭部CTでの診断率は95%を越えていますが、ときにはCT検査で分からないくも膜下出血もあります
原因の8割以上を占めるのが「脳動脈瘤」という血管のコブ。それ以外のものは稀ですが、血管そのものが突然裂けてしまうケースや、脳動静脈奇形や脳腫瘍が原因となることもあります。
脳動脈瘤は100人中2~3人にあると言われており、その破裂率は年間0.5~1%程度と言われています。
くも膜下出血の症状
真中にあるドーム状のふくらみが動脈瘤。これが破裂するとくも膜下出血を引き起こします
くも膜下出血の代表的な症状は、何といっても頭痛です。頭痛の程度はさまざまですが、多くの場合、今までに感じた事がないくらい激しい痛みを訴えます。この頭痛は破裂をした瞬間におこり、場合によっては突然死の原因となることがあります。約半数の方が意識を失いますが、なかには意識を失わずに頭痛の症状だけを感じる場合もあります。
■まれに見られる症状:首の後ろの痛み・瞼の違和感
ときには首の後ろの痛みを訴え、首が曲げられないという症状で病院に来られる方もいます。
また、特殊なケースでは、頭痛もなく、突然、片側の瞼が下がることがあります。これは脳動脈瘤が瞼を動かす神経(動眼神経)を圧迫してしまうことによって起きる症状です。
上記のような症状が起きた場合は、速やかに脳神経外科を受診しましょう。早期治療で、最悪のケースを回避することができるのです。