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「手残り金額」という土地活用の判断基準

「手残り金額」は土地活用法を判断する上での一つの基準です。「手残り金額」を計算できるようになれば、土地活用があなたにとってより身近なものになるでしょう。

浦田 健

執筆者:浦田 健

アパート・マンション経営ガイド

「どのような土地活用が自分に向いているのでしょうか?」

これは多くの相談者からもちかけられる相談事項の一つです。しかし、このような質問に対しては、正直答えようがありません。なぜなら、どのような経済状態を目指すかで、その方にとって最適な土地活用の手法は異なるからです。

「でも、何を目指したらいいのかがはっきりしないのです。このような場合に、まず何を考えることからはじめればよいのでしょうか。」

土地活用を始められる方の中にはこのような相談者と同じ悩みを持たれている方が多いように思います。

そこで、今回は土地活用の判断基準について解説していきたいと思います。その中でも特に今回は「手残り金額」という指標についてみていきましょう。「手残り金額」を計算できるようになれば、土地活用があなたにとってより身近なものに感じられることでしょう。

具体例で考えてみよう!


例えば、当社事務所近隣の浦安地区に、固定資産税評価額30万円/平米の40平米の土地があったとします。この土地で、駐車場として活用するか、戸建賃貸として活用するかを手残り金額で比較してみます。

・駐車場として活用した場合

この土地では、どうやら16台分の駐車スペースがとれそうです。1台あたり、月額2万円で貸せる相場ですので、

2万円×16台=32万円

が毎月の収入になります。支出としては、固定資産税、都市計画税があわせて月額17万円かかってきます。(固定資産税・都市計画税の計算方法については,拙著「金持ち大家さんになるアパート・マンション経営塾」
をご一読ください。)
以上から毎月の手残り金額は32万円-17万円で15万円になります。

・戸建賃貸として活用した場合

一方、同じ敷地に2LDKの戸建賃貸を4棟建築することを考えてみます。この地域では月額16万円で賃貸できそうです。

戸建賃貸を1棟800万円で4棟建てると総事業費は約4,000万円と見込まれます。1戸の家賃は16万円で4戸なので、16万円×4戸=64万円が月間収入になります。

続いて支出も計算します。土地と建物にかかる固定資産税・都市計画税は、月額約6万円、ローン返済月額が約18万円(金利3%、借入期間25年で計算)となり、毎月の支出は合計約24万円です。

以上から毎月の手残り金額は64万円―24万円で約40万円となります。

どちらが得?


この例では、戸建賃貸にすると、毎月の手残り金額が約25万円多くなります。それでは戸建賃貸を建てることがあなたにとって最適な土地活用法といえるのでしょうか?

いいえ、違いますよね。

もし毎月の手残りが少なくなってもローンというリスクを背負うことなく最低限の収入さえあればよい、ということであれば駐車場にしておくのがいいのかもしれません。

逆に、リスクを背負っても、毎月の収入を増やしたい、ということであれば賃貸住宅を建築し、賃貸事業を行なうのが最適な土地活用法になるかもしれません。

まずは判断基準を作る!


土地活用は、マンションやアパートを建てることだけを言うのではありません。マンション建設、駐車場運営、コンテナボックス設置といったものから、更地として売却する方法、もしくは、戸建を建てて分割して売却することも考えられます。

今回解説した「手残り金額」という指標はこのような様々な土地活用法を判断する上での一つの基準でしかありません。
まずはあなたの軸となるべき投資基準を作りましょう。そうすれば、情報に振り回されることなく、複数の選択肢の中から最適な土地活用法を見つけることができるのです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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