古い町並みや伝統ある高山祭で知られる岐阜県高山市。世界遺産である飛騨白川郷も近くにあり、冬には雪深くなることで有名です。この高山市・高根町にある元教員住宅が2008年12月から高齢者用の集合住宅に生まれ変わりました。

高山市の高根地域は高齢化率43%、高齢化世帯37%、内独居高齢者世帯19%と極めて高齢者の多い地域。冬になると豪雪に見舞われることもありますので、冬の間は他地域で生活する子供世帯のところで暮らす高齢者もいますが、それができないこともあります。

そういった高齢者は毎日不安を抱えて過ごすことになりがち。さらに、寒さから外出することが少なくなり、他の人との交流が無くなってしまうため、健康状態も悪化する傾向にあります。そこで、高山市の遊休施設を活用して高齢者に賃貸し、孤独を解消して冬を過ごす取り組みを、初めてスタートしました。

高齢者が安心して暮らせる賃貸


お年寄り
少子高齢者社会が招いている問題は、住宅にも及ぶ。遊休施設をニーズに合わせて賃貸にすることで、救われる人がいる
高齢者に賃貸された建物は、元高根小と高根中学の教員が利用していた元教員住宅。両校は昨春まで隣町の朝日小、朝日中学に統合されたため教員住宅が必要なくなりました。建物は単身者用10室と家族用4室の3階建て。高齢者用に新調した住宅は旧村役場の隣にあり、入院費は朝晩の食事つきで1万5000円程度。本当に入居希望者がいるだろうかと心配された声もありましたが、高齢者にとっては雪深い冬を一人で過ごす寂しさや不安を和らげることができるため、きっと利用者がいるはずだと考え、この事業を立ち上げたそう。



入居者を募集したところ、定員18名に対し、11人の応募者がありました。さらに、現在活動している高齢者でつくるグループを活用し、流木オブジェや寒干し大根の袋詰めなどの作業を持ち込み、入居者が談笑しながら作業できるようにもしたそう。高齢者にとってこの家賃は決して安くはないものの、安心して住みなれた地域で暮らすことはとても重要なこと。

この取り組みは、ただ高齢者に住まいを提供するだけではなく、他地域の若者などを募って冬季間の除雪ボランティア組織を結成し、施設入居者の家屋の雪下ろしなどを実施しています。世代を超えた交流を深め、地域の活性化にも役立てているのです。

一般的な賃貸ではありませんが、高齢者にとってこういう新しい形の賃貸は住みなれた地域を離れる必要がなく、きっと大切です。全国各地でこういった賃貸が増えていくといいと思います。
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