妊娠するにもお金がかかる!
妊娠・出産にはお金がかかる
日本では、妊娠・出産にかかる費用はすべて自費で行われてきました。「妊娠したかも?」と病院に行き、本当に妊娠していたら、その時からすべて診察費用は自己負担になります。
妊婦健診を受ける時期は、おおむね次のように決められています。
妊娠初期~12週まで=4週間に1回程度
妊娠13週~23週まで=4週間に1回
妊娠24週~35週まで=2週間に1回
妊娠36週~出産まで=1週間に1回
病院にもよりますが、普通の健診で5000円~8000円程度、採血など特別の検査がある場合には、2万円以上もかかることもあり、妊娠前期、後期と2回行われます。ちなみに、日本では分娩費用もすべて自費ですから、トータルすると健診だけで10万円以上、分娩まで合わせると病院によっては100万円近くかかる場合も!
これでは特に、結婚したばかりの若い夫婦にとっては相当な負担です。「お金がないから」と、妊娠・出産を躊躇しても仕方ありません。事実、妊娠しても、経済的な理由から健診を受けられない人が存在していました。
数年前から、そういった経済的な問題で健診を受けたことがないまま陣痛が始まり、慌てて病院に駆け込む「未受診分娩」が問題になってきました。出産時の安全確保が重要視される中、分娩の経過が全くわからない妊婦を受け入れられる病院が極めて少なく、「たらい回し」とも呼ばれる結果を招く事態にもなりました。そこで、少子化対策の一環としてもこの妊婦健診の費用を助成しようということになり、国から地方自治体に予算が下りるようになりました。
妊婦検診助成の地域格差
2009年1月から、国は妊婦健診14回分の費用への助成を始めました。大々的なニュースになったので、「これで無料で健診が受けられる!」と喜んだ人も多いはず。ところが、蓋を開けてみると「無料化」にはなっていない現実がありました。この制度は、国からの助成金と「地方交付税」を財源にして成り立っているものですが、「地方交付税」は地方自治体独自に使い道を決められるので、必ず妊婦健診に使うように決められていません。そこで、財政難を理由に、地方交付税をほかの用途に回してしまい、妊婦健診14回分の無料化が実施されない自治体が数多く出てきた、というわけです。
「完全無料化」という声がけでスタートした制度だったわりに、実際には無料化になっていないのは本当に困ったものです。また、助成の仕方も自治体によって違います。基本的には、母子手帳の発行時に同時に発行されるチケットを病院に持って行って無料で健診費用が受けられるのですが、これがくせ者。チケット1枚あたりの上限の金額が決まっていて、自治体によっては4800円、5000円、8600円といった開きがあります。特別な健診のためのチケットも1万円~20000円くらいまで、相当な差があります。もちろん、全額無料という自治体だってあります。
また、助産院での出産や、里帰り出産で住んでいる自治体と違うところで出産する場合には、一度、自己負担した上で払い戻す方法が一般的です。
国の声がけで「全国一律無料化」を叫んだ割には、地域によってかなりの格差があるのが現実です。「無料化になった」ということだけで安心せず、住んでいる自治体ではどの程度の助成が行われているのか、事前に調べておきましょう。