/薬の基礎知識

同一成分のジェネリックに価格差がある理由(2ページ目)

処方せん様式の変更に伴い、ジェネリック医薬品の中からどれを選ぶか、悩むこともあるかと思います。今回は、同一成分のジェネリック間で、なぜ価格差があるのかという疑問にお答えします。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

発売後の価格変動(薬価改定時)

発売された後、2年に1回の診療報酬改定にあわせて、薬の価格も見直されます。ジェネリック医薬品も同様です。

その際には、簡単に表現すると以下のような計算式で、新しい薬価がつきます。

 市場実勢価格(医療機関が医薬品を購入している価格)
 ×(1+消費税率)+調整幅(薬価改定前薬価の2%)
  ※市場実勢価格は厚生労働省が実態調査をして算出した値です

 例)発売時100円の薬価のジェネリック医薬品が、70円(税込73.5円)で市場取引されている場合
   70円 ×(1+0.05)+100円×2% =75.5円

上記の例ですと、当初100円だったジェネリックは、薬価改定で75.5円になります。そして、薬価改定後は、71.9円以下(75.5円を消費税で割り戻した値)で、医療機関に納入されていき、薬価改定毎に安くなっていくのです。

また、お分かりのように、同じように100円の薬価がついていても、90円など高めで取引する場合と、50円と安価で取引する場合では、薬価改定で96.5円と54.5円となりますね。
このように、薬価改定毎に同成分のジェネリックでも価格差が生じていくのです。

余談

メーカーまたは卸売業者の戦略によって、いくらで医療機関に売るかがポイントなのですが、一概に、納入価を安くして医療機関に取り扱ってもらおうとしているという理由だけではありません。
戦略的に、有名メーカーでも一気に普及させる目的や、薬価自体を下げていくことで他社より患者負担が少ないという価格での差別化を目的とする場合もあるようです。

このように、同じ成分でも安価で手に入るジェネリックがあるのですが、必ずしも薬局に在庫をしているわけではありませんので、ご注意ください。

薬局側が重視するポイントは、価格ももちろんですが、特に、緊急時を想定とした手に入りやすさや規格の豊富さ、体内動態を中心とした品質などを気にして選定しているようです。

ジェネリックに関して疑問点がありましたら、医師やかかりつけの薬剤師に聞いて正しく使ってくださいね。

*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局などでの会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。

【参考リンク先】
薬価算定の基準について>厚生労働省
「ジェネリック医薬品」の検索>患者さんの薬箱>日本ジェネリック医薬品学会
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