病院/病院の種類:総合病院・診療所・クリニック

大病院と診療所(クリニック)の使い分け方

大病院と近所の診療所を、上手に使い分けられていますか? 大きければよい・身近な程よいというものではありません。それぞれの特徴とメリットを解説しますので、賢い病院利用に活用してください。

執筆者:竹本 国夫

病院と診療所の区別の仕方

病院探し
健康な毎日のためにも、病院の知識を知っておきましょう
病院と診療所(クリニック)の違いは何でしょうか? 入院するベッドがあるのが病院で、ないのが診療所だと答える方がいらっしゃいますが、それは正確ではありません。ちゃんと医療法に定義されているのです。

医療法では、「20ベッド以上あるところが病院、19ベッド以下のところが診療所」とされています。ベッドのことを医療法では「床(しょう)」といいます。つまり、医療法では20床以上のところが病院。入院できるベッドがあっても、19床以下なら診療所として扱われることがあるわけです。

しかし実際には19床以下のところは、夜間看護師の配置や食事の提供など、入院施設の維持管理の費用を捻出するには経営的に厳しいことが多く、ベッドなしの診療所がほとんどです。

全国で、病院の数はは9000弱、診療所は10万軒ほどあります。診療所は病院の10倍以上あるわけです。

病院と診療所……それぞれの役割とメリット

病院は大きい方がよい、小さい方が信頼できる、など、人それぞれに考えがあると思います。それぞれの役割とメリットというものがあるのです。

病院には、多くの医師と、さまざまな検査設備があります。多くの医師がいるということは、分野ごとの専門医を配置していることが多く、難しい病気やまれな病気の場合でも、経験豊富な専門医に診てもらうことができるというメリットがあります。手術や入院など、医師や看護師などのマンパワーがより必要とされる場合にも、病院の強みが発揮されます。

また、さまざまな検査設備があることから、精密検査をする場合には病院の方が有利といえます。診療所で数千万円も数億円もする検査設備を持つことは難しいですから、ここが診療所にはない病院の特徴と言えます。

一方で、診療所のメリットとしては、普段かかるような日常的な病気について、本領を発揮するということがあげられます。「コモンディジーズ」ともいいますが、稀な病気や重い病気が発見されることは本当に少しで、ほとんどの場合が病院にいってもよくある軽い病気だった、ということが多いです。そのような日常的な病気を、毎日少ないマンパワーで診ている医師は、コモンディジーズのプロといえます。

ですので、まずは通いやすい近所の診療所に行き、一般的な病気かどうかを判断してもらうのがよいでしょう。それでも釈然としない、あるいは症状が改善しない場合に病院に行くというのが、賢い医療機関のかかり方かもしれません。

診療所の新しい役割

また、診療所には、新しい役割も期待されています。かつては脳梗塞や心臓発作などの急性疾患といわれる病気の比率が高かったのですが、徐々に糖尿病や高血圧といった長期の治療が必要な慢性疾患の比率が高くなってきています。このような病気の場合、遠くにあって待ち時間も長い病院よりも、近所にあって通いやすい診療所で、定期的に検査・治療をしっかり行うことがが理想的です。

治療法も、すぐに手術という緊急性を要するものは少なく、薬を定期的に飲みながら経過観察しながら治療していくため、診療所の出番が多くなってきているのです。

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