■「川崎病の症状・後遺症」
治療は、まず炎症を抑える薬の投与から
川崎病は血管の炎症。まずは炎症を抑える「アスピリン」という解熱剤を内服し、炎症による発熱が下がったら量を少なくします。しかし、アスピリンはインフルエンザと水疱瘡(みずぼうそう)の子供に使うと、ライ症候群という急性脳症を起こすリスクがあるため、インフルエンザや水疱瘡にかかっているときには使うことができません。肝臓への負担も大きいので、肝機能異常がある場合は量を減らしたり、少し効果が弱めで負担の少ない「フロベン」という薬を使います。後遺症リスクを半減させる血液製剤の投与
川崎病と診断されたら、入院の上、点滴治療が行われます
γグロブリンというのは、人の体内の免疫に関わるタンパク質を取り出して薬にしたもので、「血液製剤」と呼ばれています。このγグロブリンを大量に使用します。この治療は発病から1週間以内に始めることで、より高い効果が期待できます(京大小児科の恩師古庄先生が開発された治療方法)。
点滴によって37度程度まで熱が下がると、冠動脈の拡大やコブなどの合併症は出にくくなるので、現場の医師としては非常にホッとします。その後、定期的に心臓超音波検査を行い、心臓の後遺症がないかチェックを続けることになります。
定期的な心臓の検査が必要
冠動脈にコブや拡大がみられた場合は、心臓カテーテル検査を行って状況を把握します。心臓カテーテル検査とは、足の動脈からカテーテルという細い検査用の管を入れ、血管内を伝って心臓の冠動脈まで到達させ、そこで造影剤を流して血管内の様子を撮影することです。冠動脈の拡大はないか、血栓によって狭くなっていないか、血栓などでコブが詰まっていないかを調べることができ、血管撮影とも呼ばれています。検査の結果、冠動脈の血管の内側が狭くなっている場合は、心筋梗塞を起こす前に冠動脈のバイパス手術を行います。
冠動脈にコブができてしまった子供の1~3%は、狭心症、心筋梗塞、心臓の弁の異常などがあるため、リスクを減らすためにも長期的な定期検診を一生行う必要があります。冠動脈にコブがない場合でも、成人までを目安に定期検診を行います。小学校、中学校入学時の心臓検診では、川崎病にかかったことを医師に伝えるようにしましょう。
川崎病の再発リスク
川崎病は、2~3%再発するため、1度罹ったから2度と罹らないとは言い切れません。再発時も最初と同様の症状が出ます。冠動脈への後遺症リスクを減らすためにも、川崎病の場合は少しでも早期に診断し、適切な時期にγグロブリンを使用する必要がります。疑わしい症状が見られた際には、すぐに小児科を受診しましょう。