子供の病気/水いぼ(伝染性軟属腫)

水いぼの原因・感染経路・症状・治療法

【小児科医が解説】水いぼとは、正確には「伝染性軟属腫」という、ウイルス感染が原因で起こる子どもに多い病気です。プックリとしたいぼができ、顔や体、手足に広がっていきます。水いぼの原因・感染経路・症状・治療法について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

水いぼとは……ヒトからヒトへのウイルス感染する「伝染性軟属腫」

【医師が解説】水いぼの原因・感染経路・症状・治療法

子どもに多い水いぼ。プールなどで感染することがあるとも言われます

水いぼとは、その名の通り中に水が入ったように見える湿疹で、体のどこにでもできます。感染するので、プールなどでも少し注意が必要な病気です。
 
膨れて水が入っているように見えるイボ。光沢があって少し硬いのが特徴

膨れて水が入っているように見えるイボ。光沢があって少し硬いのが特徴

水いぼの正式名称は「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」。ウイルスが皮膚に感染することで湿疹ができます。水いぼの伝染力は強くはありませんが、ヒトからヒトに感染してしまいます。

ウイルスが皮膚に感染といっても、ウイルスが皮膚に付着してすぐにイボ上になるわけではありません。皮膚に付着したウイルスは「真皮」という角質より深い部分まで潜り込み、そこの細胞に感染します。

感染した真皮の細胞は風船のように膨らみ、膨らんだ状態で細胞分裂を繰り返して増えていきます。風船のような細胞が集まることで、その部分がプックリと膨らみ、表面からは水が入っているように見える部位になります。水ぼうそうの場合は、実際に中に水が溜まっていますが、水いぼの場合はそう見えるだけで、実際に水が入っているわけではありません。
 

水いぼの原因・感染経路……タオルや衣服などでも感染する「接触感染」

原因は、伝染性軟属腫ウイルス(molluscum contagiosum virus)と呼ばれるポックスウイルスというウイルス。ポックスウイルスはウイルスの遺伝子は2本鎖のDNAです。今は撲滅した天然痘と同じウイルスです。

感染経路は水いぼがある部分に触ることで起きる「接触感染」です。直接患部に触れなくてても、タオルや衣服などを介してうつったり、患部を触った手で触れたものを介して周りに広がったりします。プールの場合は水というよりもビート板などの皮膚に触る物に注意が必要です。

特に多くの人が肌の露出が多い状態で接するプールや公衆浴場を始め、レスリングなど一部のスポーツで感染しやすい病気です。

外傷や乾燥などによって皮膚が障害されている部位から感染するため、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある場合は感染しやすく、搔くことで急速に全身に広がっていくことがあります。皮膚に接種感染して発症するまでの潜伏期間は14~50日ぐらいとされています。
 

水いぼの症状……子供に多く、湿疹以外にかゆみを伴うことも

水いぼはどこにでもでき、顔や体、手足まで広がってきます。特に子供に多く見られ、症状が出る範囲も広いです。イボが確認できる以外はほとんど無症状ですが、脇や股に集まってできるとかゆみが出る場合があります。

水いぼの特徴は、光沢のある、真珠のような白からピンク色の湿疹。直径は2~5mm程度で、大人の場合は陰部にできることが多いようです。
 

水いぼの治療法・登園、登校、プールの停止措置は?

水いぼは治療しなくても、6ヶ月~2年、長いと5年の間に自然治癒するので、必ずしも病院での治療が必要ではありません。人への感染が心配な場合や、体の他の部位に 広がるのを防ぎたい場合、現在の患部の見た目が気になる場合などには、病院で治療を行います。治療の基本は、ウイルスに感染した皮膚の細胞を取り除くこと。下記のような方法で治療する。
 
  • 刺抜き用ピンセットでつぶす
  • 液体窒素で水いぼの部分を凍結する
  • 電気によって水いぼを焼く

これらの治療法には当然ですが、針で刺すような痛みを伴います。治療時には患部をすべて取り除かないとまた残った水いぼからまた皮膚感染が広がってしまうので、しっかりと全体をカバーしなければなりません。

外科的な治療法以外では、漢方薬の服薬を薦められることもあります。よく使われるのは「ヨクイニン」という生薬ですが、1回に飲む量が多く、治るまで時間がかかるため、少し負担感があるかもしれません。

免疫不全などの疾患がなければ、例え体の他の部位に広がっても自然に治ります。上記の治療が必須ではないので、人に感染させないよう気をつける必要はありますが、様子を見て自然治癒を待つのもよいでしょう。

学校保健法での水いぼの扱いは、通常登園・登校停止の措置は必要無いと考えられます。「原則として、プールを禁止する必要はありません。しかし、二次感染のある場合は禁止とします。多数の発疹のある者はプールでビート板や浮き輪の共有をさける。」となっていますので、プールに入るための除去は不要です。皮膚を清潔にすることも大切です。

保育園も、学校保健法に準じることが多いです。

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