内臓脂肪が多いとがんになる!?
「内臓脂肪が多いと、糖尿や血圧、コレステロールに悪いことは知ってるよ」という方に知って頂きたいのが、内臓脂肪とがんの意外な関係です。
「内臓脂肪の蓄積が、糖尿病や高血圧、高脂血症を引き起こす。」というのがメタボリックシンドロームの基本的な考え方です。つまり、糖尿病や、高血圧、高脂血症といった「生活習慣病」の原因は別々のものではなく、一つ一つの治療を行うことも大切ですが、根本原因である内臓脂肪を減らしましょう、というのが現在の健康指導、保健指導の要点です。
健康に関心のある方の間では、半ば常識といって良いほどこの考え方は浸透してきました。
しかし、近年、内臓脂肪の蓄積が、がんの発生と関係があることを示す研究成果が発表されつつあることをご存じでしょうか?
大腸がん、肝がん、乳がん、子宮体がんなどに注意
内臓脂肪の蓄積とがんとの関係は、今、研究が進みつつあるホットな分野です。たとえば、肝がん。毎日のちょっとした食習慣が、色々ながんの発生率を高めることが明らかにされてきています。その一口、一皿を控えることが大切なのですね。
肝がんといえば、従来は、お酒の飲み過ぎでアルコール性肝炎となり、さらには、肝硬変、肝がんへと進行していくケースや、C型肝炎から肝硬変となり肝がんになるケースが多く見られました。
しかし、最近、お酒も飲まず、C型肝炎にもなっていないのに肝がんになるケースあり、それらは肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝から肝がんへと変容していることが明らかにされつつあります。
このように内臓脂肪ががんの発生リスクを高めるという報告は、大腸がんや乳がん、子宮体がんでも見られますが、その原因は、まだ完全には解明されていないようです。
ただ、内臓脂肪の蓄積によって、がんの発生を抑える働きがあるホルモンが減少することが原因ではないか?と考えられています。
肥満の解消はがん予防にもつながる
つまり、肥満の解消(=内臓脂肪の減少)はがんの予防、再発予防にも有効であるということがわかってきたのです。生涯現役!いつまでも元気で若々しくいたい。その願いを実現するには、やはり、内臓脂肪の減少が必要なようです。
最近、高度肥満に対する外科治療が行われるようになってきていますが、それらの治療をうけ、肥満を改善した患者さんは、確かに、各種生活習慣病だけでなくがんの発生頻度も減少し、5年生存率が向上したというデータも報告されています。
「腹八分目に医者いらず」とは、昔から言われることですが、体重コントロールは、私たちの健康に予想外に大きなメリットをもたらしてくれるということですね。
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