がん治療の名医とは?
万人が認める有名な名医とは? 巡り会うのは、なかなか難しいのも事実です。
どんな病気であっても感じることだと思いますが、こと、がんのように生命に関わる疾患の治療においては、切実な願いと感じられている方がほとんどだと思います。
しかし、度々テレビに登場するような有名な先生や、たくさんの医学書を出版されているような高名な先生に診てもらうのは、時間的にも地理的にも難しいことが多いと思います。
特別ながん治療は「ない」という事実の認識を
病院や医師によって、がんの治療法が大きく異なることはないのです
「EBM」という言葉をご存知でしょうか?
Evidence Based Medicineの頭文字で、直訳すると「根拠に基づく医療」という意味になります。
EBMは、この20年ほどの間に主流になってきた考え方で、治療は医学的かつ客観的根拠に基づいて行い、医師や医療機関によって治療法が異なるということがないようにしようというものです。
少し意外に感じられるかも知れませんが、 逆に言えば、ある病院やある医師のみが特別に行う治療というのは、ごく一部の保険診療以外の自費治療を除いて、基本的にはない、ということです。
あなたにとっての名医の探し方
名医の定義はあいまいです。コミュニケーションのとりやすい身近な医師が、あなたにとっての名医になるのではないでしょうか?
そもそも名医とは、なんでしょうか? 「ゴッドハンド」と呼ばれるような医師、普通なら見つけられないような疾患を容易に発見できる医師など、色々なイメージがあると思います。
確かに、医師も人間ですので、専門的な手術の中での手際の上手い下手や、得意分野の違いはあるでしょう。しかし技術やテクニックによる差は、治療の成績を左右するほど大きくないというのが、私の医師としての正直な実感です。
治療法が医師や医療機関に依存するものではないとすれば、一体、何を持って名医とするのでしょうか。
名医の定義は難しいですが、医療のレベルが基本的には変わらないということを前提とすると、自分の思っていることや不安なことを躊躇無く尋ねることができ、納得して医療を受けることができる医師ではないかと思います。
灯台もと暗しとも言いますし、メーテルリンクの青い鳥の例えもあります。あなたにとっての名医とは、実は、遠くにいる有名な先生ではなく、あなたの近くで微笑んでいる身近な医師なのかも知れませんね。