百日咳の治療
百日咳菌に特効薬がありますが、咳のひどい時期での咳には効きません
■マクロライド系
エリスロマイシン(商品名:エリスロシンなど) 14日間
クラリスロマシン(商品名:クラリス、クラリシッドなど) 7日間
ロキシスロマシン(商品名:ルリッドなど)
アジスロマイシン(商品名:ジスロマック) 5日間
錠剤と粉の製剤があります。子供用としてドライシロップという甘みのある粉がありますが、それでも後味が悪く苦いかもしれません。特にスポーツ飲料と飲むと苦味が増しますので、要注意です。また、現在は、これらの薬には、ジェネリックの薬がありますが、味と吸収が異なることがあります。
■テトラサイクリン系
テトラサイクリン(商品名:アクロマイシン、レダマイシンなど)
ミノサイクリン(商品名:ミノマイシンなど)
などが使われています。
8歳未満の場合、歯が黄色くなることがあるので、使用は最低限にした方がいいでしょう。セフジトレン(商品名:メイアクトなど)やピペラシリン(商品名:ペントシリン)も効果があります。
咳については、咳を抑える鎮咳薬、痰を出しやすくする去痰薬や気管支拡張薬で少しでも症状を抑えていくことになります。
6カ月未満の乳児が百日咳にかかると、呼吸をしなくなる無呼吸になることが30%見られ、小さいほど無呼吸になりやすくなります。その場合は、酸素を投与したり、人工呼吸器で呼吸を助けることになります。アメリカの報告では6カ月未満の子供の死亡率は0.6%で、全年齢の0.2%より高くなっています。
百日咳の予防法
3種混合ワクチンは、ジフテリア、百日せき、破傷風に対するワクチンです(写真提供:北里研究所)
大人になるにつれて、ワクチンの打った部位が腫れやすくなります。そのため、DT2種混合ワクチンは少量になっています。百日咳は小さな子供に罹ると重症になるので、できるだけ早くワクチンをした方がいいでしょう。
しかし、この百日咳のワクチンの効果は5~10年と言われています。小学校以降の子どもや大人は百日咳に罹っても軽いままのことが多いですが、ワクチンの効果がなくなってくると感染しやすくなります。そのため、家族や集団の中で、学童期以降の子どもや大人が感染源になってしまうことになります。
欧米では10歳以降の子供でも百日咳のワクチンを行っています。欧米の百日咳を含むジフテリアと百日咳の混合ワクチンで、Tdapと呼ばれています。TdapはDPTと同じ成分ですが、DPTからジフテリア毒素の無毒化した成分を減らしたものです。腫れを減らして、成人でも接種可能なワクチンになりました。日本では残念ながら、Tdapはありません。
家族や集団を百日咳から守るためには、欧米のようなワクチンが望まれます。
■参考:「予防接種・ワクチン」